Eighter -Bizarre Investigate-
52nder 〜鹿に似た獣を討て〜



#0
 ある時突然伊豆諸島でシカ科の動物、キョンが異常繁殖した。
 東京都知事はこれを受け急遽キョン捕獲作戦を決行。彼らの名は『島を・脅かす・シカに似た獣を駆逐する団』
略称は勿論『SOS団』だ!
 そう、これは、ある〜晴れ〜〜た日〜の〜事〜〜魔法〜以上〜の愉〜快な〜〜♪事件簿である。
※いや、どこの涼宮ハル〇の憂鬱だよ!

#1
 東京、伊豆大島
 今、この地である異変が起こっていた。それは、キョンの大量発生である。
 キョンとは体重約80kg、身長約40cm程の鹿科の動物であり、奈良時代に平城京にいたものが幕府の移り変わりと
共に江戸時代にやってきたものとされる。
※あくまでEighterの世界での話です。現実の話と混同しないようにお願いします。
 全ての発端は奈良県の鹿公園に対抗意識を持った伊豆大島の島民がキョンの繁殖に躍起になった結果、繁殖に対
して飼い主の方が追い付かなくなってしまったことに起因する
※こちらもあくまでEighter世界での話となります。
 このままでは鹿に島を乗っ取られると危惧した島民は一念発起。東京都知事をも動かしついには大規模な鹿狩り
が行われる運びとなったのだ。
*「みんな、よく集まってくれたわね。これより我ら修羅に入る。キョンに逢うてはキョンを斬り、トナカイに逢
うてはトナカイを殺す……ヘラジカ、カモシカ、メブキジカ……全部ぶち殺すのよ」
※なんかポ○モンが混じっとる……
一同「ウオオオオ!」
 集団を率いるのは島を・脅かす・シカに似た獣を駆逐する団ことSOS団の団長、熱社(あつやしろ)アキヒである。
熱社(あつやしろ)アキヒ「副団長のコイズミのためにも負けられない戦いがここにある……みんな、丸太は持った?」
一同「オオオオオ!」
 いやいやいや、武器が丸太ってヲイ……
刀持隕山(いんざん)「で、なんで俺たちまで鹿討伐に向かわなきゃならんのだ?」
警官「文句は都知事に言ってくださいよ……」
 SOS団に助っ人として警視庁の捜査一課も援軍に加わっている。
 これは(無能)警官の一人がぼやいている通り、都知事が許可したこともあるが、(かみ)総介がいれば大丈夫という
か、(むし)ろ、総介の邪魔をしないように鹿の討伐でもやってろ!というのが本音であるのだが、言わぬが花である。
警官「それよりも、配給された武器が丸太なのはなんなんですかね……」
隕山(いんざん)「知るかよ!」

#2
アキヒ「全てはコイズミのために!」
一同「コイズミのために!」
 アキヒの号令の下、キョン撃滅作戦は開始された。
 その異様な空気に警官一行も思わず飲まれてしまうのであった。

*「いたぞ!そこだ!」
*「おるぁ!」
 ズドゴオンンッ
 かくて、丸太を武器に、キョンを撲殺するという異様な作戦は幕を開けた。
隕山(いんざん)「こんなもん、銃で一発じゃないのか?」
 作戦開始から一時間。刀持警部が拳銃を片手にボヤき始める。
*「フッ、アンタは何もわかっちゃいないな……」
*「野生の獣は自然と異なる物質に敏感なんだよ」
隕山(いんざん)「あぁ?どういう?」
警官「はっ、そうか!野生の獣は鉄の匂いに敏感……拳銃で仕留めようとすると気づかれて逃げてしまうというこ
とですね?」
*「そういうことだ」
※どんな理屈だよ
隕山(いんざん)「いや、だからって丸太は……」
*「フッ、これだから素人は……」
 と、刀持警部を小馬鹿にするようなSOS団の一人に思わず怒りがこみあげてくる
*「丸太を武器にするのには理由がある」
*「キョンが俺達をターゲットに襲い掛かってきたときには空蝉の術として切り抜けることも可能」
警官「なるほど、そこまで考えての丸太とは……」
警官「そこまで計算づくされていたとは……」
 いや、空蝉の術ってそういうんじゃないでしょ……と言いかけたがぐっと飲み込む刀持警部であった。
隕山(いんざん)「そういやぁ、団長が言っていた副団長のコイズミってのはどこにいるんだ?」
一同「……」
 刀持警部の何気ない一言が、場を凍らせる。
隕山(いんざん)「お、おい……どうした?」
*「コイズミなんて人物は我が団にはいませんよ」
隕山(いんざん)「なんだと!?どういうことだ?」
 一人の団員の呟きに驚きを隠せない警視庁の一行。
*「副団長……彼の名は和泉……和泉一鉄と言い、今から数年前に手塩に育てていたキョンに蹴られて死亡しまし
た」
*「飼い犬に手を噛まれるとは正にこのことですな……」
 いや、キョンだけどな。
隕山(いんざん)「うん……うん?」
 ここまで来ればわかる人もいるだろうが『コイズミ』というのはそれで一つの苗字ではない。
 死んでしまった和泉さん……つまり『故和泉』という意味だったのだ。

#3
警官「そこまでして和泉って奴を気にかけるってことはもしかして団長と副団長は恋仲に!?」
*「いえ、全然」
一同「えぇ……」
 アッサリと否定されて警視庁の一行は唖然とするばかりであった。
*「和泉さんには申し訳ないが、死んでしまってから団長が『コイズミ』という方がゴロがいいわねとか言い出し
て……それからです。我が団に『コイズミ』の名が轟き渡るようになったのは……」
*「そして、和泉さんが死んでからSOS団は一致団結するようになった……きっと彼はこの時のために生まれてき
たのかもしれない」
 それは言い過ぎやろ……故和泉も草葉の陰で泣いてるよ……
*「と、無駄話をしている場合ではない……キョンを一番多く狩った人には褒章が当たるんだ」
*「俺が一番うまくキョンを仕留められるんだ!」
 かくて、SOS団の連中は心機一転してキョンの駆逐に励むのであった。

 ちなみに、余談であるが、キョン駆逐の褒章とは、キョンの飼育管理権のことであった。
 当然駆逐が終わるまで知らされていないその内容に、優勝者はガッカリしたことは言うまでもない。


END

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