Eighter -Bizarre Investigate-
10ther 〜泥棒には泥棒を!〜



#0
 ATM強盗……それは、設置してあるATMを機械ごと奪い去り、金を盗むと言う大胆だが、合理的な強盗……
 そして、今回はそのATM強盗に対して防護策を考えてみたという事件簿である。

#1
 天四斗(あまよと)、某所
警官「……またですよ……志摩警部……ATM強盗」
志摩椅埴亜(いじえ)「……今月に入ってもう15件か……」
警官「いずれもATMを切り崩して持ち運び、別の場所で破壊、現金を奪って放置……」
 大胆だが、そんなことをされるとは夢にも思わなかった警察一行は……事件に手を拱いていた……
警官「何とかなりませんかね?」
警官「持ち去れないようにするってのは……」
椅埴亜(いじえ)「どうやるんだよ?」
警官「ほら、ヘマタイトだたヘクタイトだかいう鉱物は小さくても重い物質だ。それを加工してATMを作れば、あ
るいは……」
※イリジウムとかオスミウムが一番重い物質だって聞いたことがあるんだが……うむぅ……
椅埴亜(いじえ)「イマイチだな……自重で沈んでいくと思うぞ……それにだ……重量があり過ぎると今度は逆に自己崩壊す
るってなことを聞いたこともあるしな……」
※それはトンでもなくでかい場合じゃないのか!?
警官「……あ、そっか……」
 と、バカやっていると……
警官「……そうだ!逆転の発想だよ!!逆転の発想!!」
一同「は!?」
警官「何も盗まれないように工夫をするんじゃない……要は盗まれた後どうするかだよ……」
椅埴亜(いじえ)「……ま、まぁ……それも一理あるな……」
警官「志摩警部……この事件……どうか、私に一任してくださいませんか?……必ず成果を出して見せます!!」
椅埴亜(いじえ)「……そうか、そこまで言うのならば……任せてみるか……」
警官「ありがとうございます!!」
 と、言うわけで、早速その警官は策を手に、街角に設置してある……これまでに良く狙われたATMから、今後狙
われるであろうと思しきATMにちょっとした細工を施すことに……

#2
 数日後……
*「行きますか?先生(センセ)……」
*「フッ……」
 再びATMを強奪せんと強盗団は動き出す……その強盗団の中に1人だけ異彩を放つ漢が……見た目はコックなのだ
が、その血の匂いは明らかに料理によるものとは思えない……そして、巨大な両刃の包丁のようなものを手にした
漢……彼こそは伝説の殺人料理人、未知葉呂(みちばろ)九三郎である……
※そんな漢を雇っていたのかよ……この強盗団は……
 そして、早速一行はATMの設置してある場所へと向かう
*「ここです、先生……さ、バッサリと……」
未知葉呂(みちばろ)九三郎「ぬおあああ!!!」
 ズバキャンッ
 背中に背負った巨大包丁で一刀両断。ATMを地面から切り離して持ち去る……もちろん1箇所だけなんてことは無
く……

*「アハハハハハハハ……笑いが止まらないぜ!!」
*「さぁ〜〜て、早速中身を拝見させてもらいましょぉか!!」
九三郎「おう、とっとと金を払ってもらおうじゃねぇか!!」
*「先生、いましばらくお待ちを……」
 ガッコッ
 もあっ
一同「フエックショイ!!!」
 ATMをこじ開けると中から煙が……
*「ゲホゲホ……なな……何だ!?こりゃ!?」
九三郎「……灰だ!……」
*「は!?」
九三郎「札束の灰だってんだよ!!」
*「なっ!?」
九三郎「くそっ!見たところ奪われたとたん燃え出すような仕組みでは無いようだな……つまり、これはATMの形
をした札束焼却炉!」
※勿体無い!!ものすごく勿体無い!!ってかそれって入金しかできないじゃん……
*「へ!?なぜです!?」
九三郎「だったら今頃火傷だボケが!!」
一同「ああ……!!」
 チャキッ
九三郎「……さぁて、どう落とし前つけてくれようか!?」
 巨大包丁を2人に突きつける九三郎
*「せ、先生!?」
九三郎「金を払ってもらおうか!?ああ?!」
*「いや、しかしですね……ATM強盗は失敗に終ったわけですし……」
*「我々もお金が無いのですよ……」
九三郎「チッ……じゃ、これやるよ!」
 チャラチャラッ
一同「へ!?」
 5円玉が6枚……30円
*「あの……これって……」
九三郎「現代風、三途の川の渡し賃……」
*「え!?ちょ、先生」
九三郎「ぬあっ!肝臓(レバー)魔羅(マラ)の痛めつけ!!」
 ドズガガガガガガガガガッ
一同「おごえわああ!?」
※肝臓とイチモツに滅多刺し……対男性用究極奥義だ!
九三郎「俺ぁ金にならない仕事はしないんだよ!!」

 後日……ATM型札束焼却炉と30円、そして殺された男が発見されこの2人がATM強盗と断定された
 ……なぜならこの殺人以降ATM強盗がほとんど行われなかったからである……
 また、犯人の殺され方から事件に未知葉呂(みちばろ)九三郎も加担していた……と推測された……まぁ、事件を止めること
はできたが、犯人を逮捕することが出来ず……結局この件は失敗として終わったのであった……
未知葉呂(みちばろ)九三郎も逮捕できてないしね……


END

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