Eighter -Bizarre Investigate-
2nder 〜模倣犯は闇に鳴く A〜



#0
 東京にて連続殺人事件勃発!
 その連続殺人事件には、共通するものが残されていた……
 これはそんな連続殺人にまつわる事件簿である。

#1
 東京都、某所
警官「フ〜ム、ホトケは背中をナイフで一突き……か」
 殺人事件現場で、警官が現場検証を行っていると……そこへ、1人の婦警現る。
*「現場に残された『師』の布切れ……これは間違いなく、今話題になっている連続殺人のものね」
 そう、事件に共通するのはソレだった。
警官「佐藤鹹美(げんみ)様……」
 彼女、佐藤鹹美(げんみ)……警視庁のアイドル的存在で、いつも皆から『様』をつけて呼ばれている。
警官「それにしても……なんで『師』ってな文字なんでしょうねぇ?」
佐藤鹹美(げんみ)「師弟関係にあるものの組織的犯行かとも思われたけど……」
警官「ええ、残念ながら違うんですよね……」
 タクシーのドライバーに主婦、そして、今回のホトケは痴漢。タクシーのドライバー以外とてもじゃないが弟子
がいるとは思えない……
鹹美(げんみ)「う〜〜ん、困ったわねぇ……」
ざわっ
 鹹美(げんみ)が困り、警官一同は騒ぎ立てる
警官(くっ……ここは何としてでも事件を解決させて鹹美(げんみ)様に花を持たせるんだ!)
警官(勿論よ、俺なんか花束を持ってきてりいるから事件解決後は文字通り花を持たせることが可能だ!)
警官(あ、ずるいぞ!お前……)
警官(フッ……こういうものは早いものが勝ちなんだ……)
警官(じゃ、俺は薔薇の鉢植えを経費で買ってくる……)
※お前ら……真面目に仕事しろよ……

 その頃、総介と桜は偶然にも警視庁に用があり、東京を訪れていた。
山咲(やまざき)桜「(かみ)警部……」
 桜がもってきた捜査資料に眼を通す総介
(かみ)総介「フン、連続殺人事件……か……」
桜「事件現場には必ずある文字が描かれた布切れが残されていたといいます」
総介「なかなかに巫山戯(ふざけ)た事件だな……」
 捜査資料を見ながら総介が呟く。
桜「はい、つくづく巫山戯(ふざけ)た事件ですね……」
 桜もまた、捜査資料を見ながら呟く。
 だが、それは『師』と書かれた布切れが現場に残されたことについて、憤りを感じているというわけではなかっ
た。
 総介と桜が憤りを感じていたのは別の事柄にである。
 そう、それは……
総介「行くぞ、山咲(やまざき)!」
桜「はい」
 かくて、総介はこの事件に介入する。

#2
 東京都、某喫茶店
警官「ガイ者に今のところ、残された布切れしか共通点が無く……無差別なのではないか……と思われております
……」
 今、ここには佐藤鹹美(げんみ)の親衛隊とでも言うべきバカどもが密会を行っていた。
警官「しかし、模倣犯という可能性は低いのでは?」
 まだ、現場に残されたモノが『師』の描かれた布切れだとは公開されていない。だから、模倣犯という可能性は
低いと考えていた。
総介「貴様らは馬鹿か!」
一同「うぉおお!?」
 突如その場に総介が出現し一同は驚きを隠せない。
警官「いっ、いきなり何を……」
桜「貴方方の目は節穴ですか?」
一同「そんなワケはあるかッ!」
 馬鹿にするのもいい加減にしろよ!とその場に居合わせた警官が思わず屹立して総介を睨み付ける。
総介「やはり、ここには漢字も読めない馬鹿しかいないようだな……」
警官「なっ、言っていいことと悪いことがあるぞ!」
桜「はぁ……」
 呆れて物も言えない桜は馬鹿どもが広げていた資料を二つに分ける。
桜「やはり、ちょうど半分ですね」
総介「やはりか……」
 一同が何を言っているんだ?この二人は?と呆けているが、ここで、ひとついいことを教えてあげよう。
 桜が先ほど半分に分けた資料……そこには現場に残された布切れの写真があった。
 そして、ここからが重要だが、半分の写真は『師』と書かれた布切れが写されており、そして、もう半分の方に
は『帥』と書かれた布切れが写されていたのだ!
 それは何も絶妙なカメラテクニックで半分だけ『師』の一画だけ削れて『帥』の文字となってしまったなんてこ
とでは断じてない。
 つまり、それは二つの連続殺人が起こっていたということを示している。
総介「行くぞ、桜」
桜「はい、警部」
 最早ここには用はない、と言わんばかりに総介は喫茶店を後にする。

警官「何だったんだ?」
警官「さぁ?」
 と、その時、馬鹿の一人は気づく
警官「あっ、見てください、こっちの半分の写真……」
警官「これは!?」
警官「なんとも絶妙なトリミングじゃねぇか!」
 だが、残念ながら真実には至れなかった。
警官「全く、困るよ、ちゃんと写真に写してくれないと……」
 ボやきながら警視庁へ電話をする警官
警官「あ〜〜、もしもし、俺だ、俺俺……え!?誰かって!?いや、俺だよ、俺、俺!!」
 物凄く俺俺詐欺的な会話で始まる警官の会話……
警官「で、だな、ちょっと鑑識にいちゃもんつけたいんで呼んでもらえる……え!?何!?今、鹹美(げんみ)様がそこにい
らっしゃるの!?……じゃ、鑑識はいいから鹹美(げんみ)様に代わって……」
 そして、暫く電話でひと悶着があり、やがて、電話の相手が折れたのか、念願の鹹美(げんみ)様との電話がかなえられる
警官「もしもし……鹹美(げんみ)様……はい、俺です……実はですね、鑑識の奴がヘマをしましてねぇ……『師』ってな布
切れの写真が『帥』になってるんですわ……」
 だが、しかし……ミスではなかった……
警官「はい!?なんですって!?……そっちの現物も『帥』になっている!?」
鹹美(げんみ)「と、いうわけ絵今一度捜査を見直すから戻ってこ〜い!」
警官「はい、鹹美(げんみ)様……」
 ピッ
 そして、電話を終えた警官は忙しそうに喫茶店を後にする


続

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