朱い宇宙そらの侍・祖章エデン
第33幕 〜衝撃!壮絶なる真実〜



ついにひかるの仇と思しきあかい髪の侍の居城へとたどり着いたひかる、切子……だが、その仇はひかるの父親!?……
戦意喪失のひかるをかばい、切子は消滅……絶体絶命のさなか、烏丸が登場する……
大典光おおのり・ひかる「どういう……ことだよ!」
烏丸・アマツ「……さて、どこから話そうか……ん〜〜、そうだねぇ……まずは十数年前の真実から……
 いってみようか……」
*「……」
漢も黙りだす……
烏丸「さて、今から十数年前、この星に隕石が飛来しました」
・
・・
・・・
その隕石はただの隕石ではなく、意志を持つ生命体の宿った隕石……いや、金属生命体だったのです。
その金属生命体は地球へ落下したさいある人物に激突、そのまま彼と融合してしまったのです。
ひかる「……まさか……!?」
烏丸「ええ、その人物こそ大典世太おおのり・せいた……ひかる、君の父親だったのです」
ひかる「ウソだ!そんな……」
烏丸「真実とは残酷なものだよ、ひかる君。まぁ、君が気が付かなかったのも父親がそんなことをするわけが無い
 と心の中で思っていたか……金属生命体が乗り移った父親が父親とは思えない形相をしていたか……
 あるいはその両方かな……?」
ひかる「……」
烏丸「……さて、この話には実は続きと前段階がありまして……まず、続きに行こうかな……」
大典世太おおのり・せいた「……」
烏丸「なお、なぜその金属生命体が地球に落下したのか……それは彼が追われていたからです」
ひかる「誰に……だよ!?」
烏丸「……別の金属生命体にですよ」
ひかる「別の!?」
烏丸「……さて、ここで話は前段階に飛びますが……」
ひかる「は!?」
烏丸「はるか遠い銀河の果てに科学技術の進んだ惑星がありました。……そこには神鉄を自在に扱える職人
 がおり、彼は真神鉄をベースに奉仕種族としてヒューマノイドを生産しました」
ひかる「それが何だってんだ!?」
烏丸「ふふ、話は最後まで聞くものだよ……しかし、そのヒューマノイドは高機能でしたがいかんせん高値で
 あり、なかなか普及はしませんでした……そこに、とある科学者が特殊な液体金属を用い、それよりも
 格段に安く、が、多少の機能を劣らせたヒューマノイドを発明しました……」
世太せいた「……」
無言で烏丸を見詰める世太せいた……構わずに烏丸が言う
烏丸「当然、機能は多少劣るもの安さにひかれたその星の人々は液体金属製ヒューマノイドに飛びつき、神鉄製
 ヒューマノイドは星を追われる身となりました……」
ひかる「……随分と話が飛んでいる気がするが……」
烏丸「まぁ、詳細に語っていたらいつまでたっても話が進まないんでね……割愛させてもらったのさ……」
世太せいた「ふん……」
烏丸「……星を追われた哀れな神鉄製ヒューマノイド……しかし、その惑星では別の悲劇が起きていました。
 ……そう、液体金属製ヒューマノイドを作った科学者がそれを使用し星を制圧、さらに宇宙へ向かって進出
 していたのです。実は液体金属製ヒューマノイドを作った科学者の真の目的は神鉄製ヒューマノイドを
 追い出し、全銀河を制圧することだったのです」
世太せいた「ケッ……よく言うぜ……」
ひかる「馬鹿馬鹿しい話だが……それと……今回の事件とどんな繋がりがあるんだ!?」
烏丸「大いにね……星を追われた神鉄製ヒューマノイドの耳にもその情報が入りました……そして、彼ら
 は星に捨てられたにも関わらず科学者の野望を打ち砕こうと立ち上がったのです」
※さて、賢い人は気が付いたかもしれないけど世太せいたのしぐさからも分かる(?)通り件の科学者ってのは
 烏丸・アマツのことです。(何のカミングアウトだよ!)
烏丸「……こうして、神鉄製、液体金属製のヒューマノイド同士による戦争が勃発しました。……数では
 液体金属ヒューマノイドは勝っていましたが性能は神鉄の方が上、戦局は徐々に侵略戦争から撤退戦になって
 いきました……そして……戦火はこの地球にまで飛び火したのです」
ひかる「……そうか……」
烏丸「そうです。世太せいたに乗り移ったのは逃げ延びてきた液体金属ヒューマノイド……それを追っていたのは
 ……ヴェルク−0013ナルグ・ナルグ・アゥ・キリーと呼ばれる神鉄製ヒューマノイド……
 だが、彼女は敵が落ちていった場所をロストしていました……」
ひかる(……彼女!?)
烏丸「……そこで彼女は……敵と接触し、生き延びた人物と行動を共にすることにしました……奉仕種族
 としての血が疼いたのでしょうか?……まぁ、消滅してしまった今、それを確かめる術はありません」
ひかる「何だと!!?……じゃあ……それじゃあ……」
※……ってかさぁ、全ての元凶が烏丸なら、なぜ切子は最初、烏丸と一緒に居たんだ!?……ってな突っ込み
 はナシです。(マテコラ!!)
烏丸「……と、いうわけで……十数年前に起こった惨殺事件にはこんな大宇宙をも巻き込んだ戦争が絡んで
 いたのでした……おしまい」
ひかる「何がおしまいだ!てめぇ!!」
ぐぐぐっ
まだ完全に動かせない体で無理して立ち上がる……
ひかる「……オヤジを……返してもらうぜ!液体金属製ヒューマノイド!!」
世太せいた「フ……フフフ……ハハハハハハ!!!」
ひかる「何がおかしい!?素手だろうが関係ないんだよ!!てめぇだけは絶対に……絶対に許さない!!!」
世太せいた「……ひかる……1つだけ教えてやろう……烏丸の言ったことは正しい……が、真実が1つ抜けている
 んだよ……」
ひかる「はっ!何が真実だ!もうそんなモンに興味はねぇ!!」
世太せいた「……液体金属製ヒューマノイドを開発し、全銀河の制圧という野望を掲げた狂科学者というのは……
 この烏丸・アマツのことなのだ!」
ビシッと烏丸を指差し世太せいたが叫ぶ
ひかる「な!!!?」
烏丸「うふふふ……あははは……あ〜〜〜〜はっはっはっは!!!そうだよ……実は僕が全ての元凶でした
 ってのが最大の真実だったのさ……どうかな?お気に召したかな!?」
ひかる「何だと!!?……」
烏丸「君の父親を取り込んだ僕の傑作と……どうやって遊ぼうかといろいろ考えた結果こうしてみたんだよ」
ひかる「……」
烏丸「まぁ、僕からのゲームもここいらでおしまいにしようか……この星の制圧もしなくちゃいけないし……
 と、言うわけだ……そろそろ還って来てもらおうかな?」
ズドムッ
そういうなり世太せいたのハラに拳を突き刺す烏丸
ひかる「な……何!!?」
ズオオオオオオッ
そして世太せいたの体内から刀が取り出される
世太せいた「……ぐ……ぬぅうう……」
だが、世太せいたはそれを拒む
烏丸「ん?……ひょっとして……宿していた液体金属を取り出そうとしたせいで自我が戻りつつあるのかな」
全ての元凶はここにあり……ひかる……烏丸を討て!


続

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