朱い宇宙そらの侍・祖章エデン
第14幕 〜神が賜えし牙 前編〜



綱國こうこく財閥お嬢様誘拐事件も実際のところは狂言であり、またいつもの日常が送られることに……なるはず
だったんだが……どうもそうはいかないらしい……ああ、どうなっているんだろうねぇ……俺の周り
は……
SS学院
今は昼休みどき……律儀に弁当を作って持ってきたりしているヤツは教室で、そうでないヤツは食堂へ行き
メシを食うことになる時間なのだ……が、今日は違う……
大典光おおのり・ひかる「……なんで今日は丸鬼まきお嬢さんに弁当を振舞われているんだ!?」
テーブル3つくらいを占領してどど〜〜んと弁当(と、言うか重箱)が置かれている
綱國丸鬼こうこく・まき「さ、どうぞお食べください」
珠数恒次たます・こうじ「フッ、何も考えることはあるまい、丸鬼まきお嬢さんが作ってくれた弁当だ。食わないと罰が当たるって
 モン……」
丸鬼まき「違います」
即刻否定される……
恒次こうじ「……と、とにかく出されたものは食う、これが常識よ!」
日宗三月ひむね・みつき「何の常識だか……」
ひかる「……しっかし、何でまた……」
丸鬼まき「先日言ったはずです。これからはあなた方と行動を共にします……と」
国田正貫くにた・まさぬき「お嬢様はここ数年何をするにも1人だったのです。察してあげてください」
……ようするに、寂しいってことね……はぁ……ま、メシ代が浮くからいいんだけどね……
安童切子あんどう・きりこ「……」
で、そんなことを気にせずもくもくと食べる切子きりこ……結構肝が据わってるのなコイツ……
※そうだからひかるの隣に席を構えたり、ひかるの部屋で一緒に暮らしたりしているの……か!?(おい)
・
・・
・・・
さて、メシが終わってやることといえば……
正貫まさぬき大典おおのりさんでしたか?」
ひかる「うん?何か……?」
正貫まさぬき「その刀……拝借させてもらってもよろしいですかな?」
ひかる「……ん?……まぁ、いいけど……」
スラッ
何か興味引かれる点でもあったのか?と思いつつ抜刀……
ひかる「はいっ……」
正貫まさぬき「では……」
バヂッ
正貫まさぬきが触れようとした矢先に弾かれる
一同「!!?」
恒次こうじ「お前、何したんだ?」
ひかる「いや、何もしてないぞ……」
正貫まさぬき「……やはり……この刀は……」
ってか1人で勝手に納得しないでくれ……
ひかる「え?何?どういう?」
正貫まさぬき「詳しくは後で話します……本日、17:00に、我が綱國こうこく財閥へ来ていただけますか?」
恒次こうじ「もっちろん!」
三月みつき「アンタじゃないでしょ!」
ひかる「……分かった……17:00に行けば良いんだな?」
正貫まさぬき「はい、時間厳守で無くても構いませんので、よろしくお願いします」
ひかる(……烏丸に繋がる手がかりが……あるのか!?……)
正貫まさぬき「おっと、そろそろ午後の授業の開始時刻ですな……」
恒次こうじ「なっ……何いぃ!?もう!?」
正貫まさぬき「では、本日の放課後、お待ちしております」
律儀にお辞儀をして正貫まさぬきは去っていく
切子きりこ「……」
その姿を見続ける切子きりこ……
ひかる(何か魅かれる点でもあったのか……?)
・
・・
・・・
放課後
綱國こうこく財閥邸宅。
丸鬼まき「で、正貫まさぬき……私にも内緒で何を調べていたというの?」
正貫まさぬき「申し訳ありません、お嬢様、ですが、確証が無かったものですし……」
丸鬼まき「フン、ま、いいわ……とにかく、中で話しましょ」
正貫まさぬき「では、こちらへ……」
と、言うことで俺達は導かれるがまま書斎へと足を運ぶ
丸鬼まき「さて、話してもらいましょうか?」
正貫まさぬき「……少々お待ちを……」
コツコツコツコツコツ……
本棚の奥へと消える正貫まさぬき
恒次こうじ「うおおお!!ここがかの有名な綱國こうこく財閥の邸宅の内部!!」
三月みつき「アンタねぇ、はしゃぎ過ぎてうっかり調度品を壊さないようにしなさいよ……きっとアンタなんかじゃ
 1生かかっても払えない額なんだから……」
丸鬼まき「そんな大げさなものはありませんよ。ただ、あの肖像画には触れないで下さいね」
書斎の奥にデカデカと掛かっている肖像画……どうやらそれは綱國こうこく財閥の礎を築いた人物の肖像らしい……
恒次こうじ「うはえええ……きっと途方も無い値段なんだろうなぁ……」
丸鬼まき「いえ、値段はあって無いに等しいのですが、我が財閥代々伝わる絵ですのでもし汚そうものなら……」
一同「……」
凄い沈黙が……
ひかる(きっと手でも触れようものなら財閥の力を駆使して2度と表社会に復帰できないようなことになるんだろう
 なぁ……)
三月みつき「……そ、それにしても執事さん遅いね……」
ひかる「むぅ、何かあったのか!?」
丸鬼まき「心配には及びません。書庫にはざっと1万冊以上の書物が保管されていますから、1冊さがすだけでも
 一苦労なのですよ」
恒次こうじ「ふええええ……そのうちどれだけの本が手付かずのまま放置されているんだろう……」
三月みつき「何失礼なこと言ってるのよ!アンタ!」
ひかる「……いや、しかし、ここ最近調べていたんだろ?……」
丸鬼まき「ええ、そのようですが……」
ひかる「だったらお目当ての本がどこにあるのかある程度把握しているんじゃないのか?」
丸鬼まき「……確かに……そうですわねぇ……分かりました。私、少し調べてきますから、みなさんここで
 くつろいでいてください」
タタタタッ
そして丸鬼まきもまた本の闇へと消える……
ひかる「……くつろげといわれてもなぁ……」
恒次こうじ「まぁ、くつろいでいようぜ、こんな邸宅に出入りできることなんて滅多に無いんだ」
三月みつき「アンタは気楽でいいわね……」
……さてさて……この後……どうなる!?


続

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