つくがく de SS
特別編其の1・前篇



天然蛍あましか・けい・・・見た夢を全て覚えていられるという特異な能力の持ち主・・・
そして、その夢はときに現実をも凌駕する・・・?
ようこそ、D世界へ・・・『D』とはDreamのD・・・Daily日常のD・・・そして・・・Dilonis夢神の王のD・・・
これは、そんなある日のけいの夢・・・
・
・・
・・・
*「むっ!?ここは・・・どこでござるか!?」
1人の侍が・・・荒野に1人・・・
辺りを見渡していると・・・ジャリっと背後に音が・・・
*「お主は!?」
そこに、侍がもう1人。
中倉新八「拙者、中倉新八にござる・・・お主こそ・・・何者でござるか?」
*「拙者は・・・」
名乗ろうとしたが・・・名前が・・・出てこない・・・と、その時、頭の片隅にて声が聞こえる・・・
*「・・・14代目・・・剣聖・・・丈太郎・・・?」
新八「ふむ、丈太郎殿でござるか・・・お主、何故、このような荒地を訪れたのでござるか?」
問われているのだが、何を答えていいかわからない丈太郎
丈太郎「・・・新八殿・・・かくいうお主は・・・如何ようでこの地に参られたのでござるか?」
質問に・・・質問で返して見る丈太郎・・・
新八「ふむ、拙者は・・・この近辺で名うての剣客ばかりを狙うあやかしが出ると噂を聞き、その調査に
 参ったでござる・・・」
すっと柄に手を伸ばしつつ話す新八・・・疑っているわけではないが、この丈太郎とやらが犯人ではないという
確証もない・・・それに、そのあやかしがどんな性格なのかも定かではなく・・・
*「グオオオオオオオオッ」
新八「なっ!?」
突如丈太郎の背後から咆哮・・・そして、異形の獣が姿を現す
新八「彼奴が・・・件の!?」
ゴッ
そのまま丈太郎めがけて爪を振り下ろすあやかし・・・丈太郎は・・・気付いていない!?
新八「危ないでござるッ」
ガキンッ
咄嗟に間に割って爪を受ける新八
新八「これは!?・・・」
生半なまなかな覚悟では太刀打ちできぬ相手・・・そう予感した直後、更に追撃がを襲う
新八「くっ・・・」
ギィインッ
今度は丈太郎が間に割って入り新八を救う
新八「かたじけない・・・」
*「・・・」
そのままあやかしは丈太郎を見つめ・・・
*「殺ス・・・貴様ハ・・・生カシテ・・・オケヌ・・・」
新八「しゃべった!?」
丈太郎「はっ・・・」
ガギンッギギインッ
そのまま丈太郎とあやかし・・・爪と刀による鍔迫り合いが繰り広げられる。
新八「ど、どういう・・・ことでござる!?」
それを遠巻きに見ていた新八はあることに気付く・・・
新八(あのあやかし・・・まるで丈太郎殿と同じ太刀筋でござる・・・いや、それだけではござらん・・・)
体捌き、間合いの取り方・・・まるで、鏡映しの如く・・・
丈太郎(・・・こやつ・・・何故拙者を・・・狙う!?)
・・・そして、実力伯仲の者同士の死合は千日手の闘い・・・になる前に一瞬の油断が命取り・・・丈太郎の
抱いたほんの些細な疑問・・・だが、それは丈太郎を殺すには十分の隙
ギャリィ〜〜イン
丈太郎「はっ!?」
あやかしの爪が丈太郎の刀を弾き飛ばす
*「死・・・ネ・・・―――・・・」
丈太郎(・・・何だ!?・・・今、こやつは何を言った!?)
トドメを刺す直前・・・あやかしは何か名前のようなものを呟いた気がした・・・
ビュゴッ
そんなことを考えている内に爪が・・・凶悪な刃が丈太郎に迫る・・・
新八「ど根性〜〜!」
ギャキイッ
窮地を再び救ったのは新八(ベンケイ)
新八「ぐ・・・くっ・・・」
だが、新八(ベンケイ)の怪力をもってしても、あやかしの力に圧されつつある
新八「何をしているのだ・・・今のうちに・・・刀を!!・・・わしでも・・・これはきついのだ!」
新八(わしが圧されるなどと・・・このあやかし・・・一体・・・!?)
更に・・・ジリジリ・・・と圧されていく新八・・・唯一の救いは先ほどと違い、追撃が来ないことだが・・・
いつまでもそんな幸運にすがっているわけにもいかない・・・
丈太郎「すまぬ・・・」
ダッ
丈太郎は飛ばされた刀の方へ走り、そして、その刀を手にする
キィンンッ
丈太郎「なっ!?これは・・・!?」
その時、刀かから光が放たれる・・・
そして・・・丈太郎の意識はここで暫し途切れる・・・
・
・・
・・・
とある平原・・・そのただ中に・・・ぽつりと墓標が1つ立っている・・・
スッ
そこへ訪れる人影が1人・・・
*「・・・師匠・・・」
その者は・・・侍であった・・・
彼は、持っていた刀を墓標に突き出し・・・まるで供え物のように墓前に安置する
*「・・・拙者の剣の腕は・・・まだ未熟・・・」
丈太郎(な・・・何だ!?・・・これは・・・記憶!?)
丈太郎は・・・その光景をどこからでもなく、見下ろしている・・・
丈太郎(この記憶は・・・一体・・・誰の・・・いや、拙者は・・・この記憶を知っている・・・)
果たして・・・この記憶は・・・誰の記憶!?・・・そして、荒野に突如出現したあやかしは・・・また、新八の命運
はいかに!?


続

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