つくがく de SS
課外活動の5
ツクール学園図書館・・・そこはひとつの聖域。そして、この図書館には絶対に護るべき約束事がいくつかある
一つ。貸出期限は絶対に守ること。
一つ。書籍に落書き、または書籍を破壊してはならない。
一つ。図書館の中では大声を出してはならない、また暴れてもならない。
・・・上記を護らぬ不埒な輩は・・・キれたフィルの手によって悪夢を見せられることになるという・・・
図書館を利用する際はこの点に注意してくださいね。
・
・・
・・・
フィル「♪~」
カウンターで一人黙々と読書をしているフィル。
と、そこへ司
司「ふぅ、たまにはここで知識を身につけておかないとな・・・」
そんなことを呟きながら書架へと向かう司
司「ん!?」
1冊の本に目がとまる。その本のタイトルは・・・『笑顔で始める魔法剣』とある。
司「・・・これ・・・もしかして・・・」
なんとなくこの本の著者がわかってしまった司・・・
氷菓子茜薙「ほほぅ!?ここが図書館というものか!」
と、そんななか、茜薙、叫びながら登場
フィル「あう~~、氷菓子さん、図書館ではお静かに・・・」
茜薙「む、すまん・・・フィル・・・だが、私は書架などという場所に来るのは初めてでな・・・」
バツが悪そうに茜薙が語る
司「え!?そうなのか!?」
茜薙「うむ。」
※ちなみに茜薙は未来から来た存在であるため、電子書籍の方がなじみが深い。しかし、未来の世界に書籍が
全く存在しないのではなく、茜薙、ひいては天蓋の徒が本などという原始的なものではなく、データベースで
情報を管理している種族なので書籍とは縁がないからという理由があります。
そして、茜薙は書架へと向かおうと・・・したのだが、何かを思い出し、振り返る
茜薙「おお、そうだ。」
フィル「はい?」
茜薙「プレゼントとして贈る本・・・はどんなものがいいのだろうか?・・・司もぜひ答えてくれないか?」
司「しょ、植物図鑑とか!?」
フィル「えっと、空手読本・・・?」
いきなりの質問に誰に贈るつもりなのかよくわかる本を挙げる二方
※・・・ちなみに、レインって書籍で覚えるよりも自分で体を動かして覚える方が得意だと思うので、本を
贈っても喜ばれないのでは・・・?
茜薙「むむ・・・」
司「・・・せ・・・氷菓子さん、急にどうしたんだ?」
『セナ』とか言いかける司。
茜薙「うむ。実は友達が、『知り合いに本を贈りたいのだが・・・』という相談を受けてな、生憎、私も
書籍には疎いので・・・ならば、餅は餅屋だと思ってな。フィルに聞きに来たのだ」
司(・・・ひょっとして、俺はこの場にいたからついでに・・・参考程度に聞いておこうと、そういう・・・
ことなのか!?)
ず~~んっとちょっとへこむ司であった・・・
・・・まっすぐ思ったことを嘘なく伝えるのは時として残酷なものですよ・・・茜薙・・・
茜薙「ちなみに、その友達というのは、紫矢胴鞘羽と言ってだな・・・」
※友達と言いますが、天蓋の徒の一員で茜薙の同僚と言った方が正しいのですが、現在茜薙達は学生なんでね。
ちなみに、余談ですが、紫矢胴鞘羽は茜薙が登場するEighter・・・の登場人物ではなく、その
スピンオフ作品、オレイア・クライシスに登場します。
・・・あれ!?本編で登場しない人物が主人公となる別の物語って『スピンオフ作品』と言うのか!?
・
・・
・・・
フィル「う~~ん、やっぱり、相手の趣味とか嗜好にあった本を贈るのが一番いいと思うよ。」
そして、茜薙の相談に対して自分なりの意見を出すフィル
司、茜薙「なるほど!」
そのフィルの解答に司も思わず納得する。
※・・・そういえば、相談されたことをそのまま別の人に更に相談しなおすというのはいかがなものなのでしょう
か・・・茜薙
茜薙「うむ、参考になった・・・礼を言うぞ、フィル・・・それに司」
と、言い残し、茜薙は図書館を去っていく
司(本当に相談に来ただけだったのか・・・)
ガチャッ
フィル「あれ?氷菓子さん?また相談事ですか?」
茜薙「・・・いや、私も、図書館で書籍を嗜んでみよう・・・と思っていたことをすっかり忘れていた・・・」
一同「・・・」
一度に2つ以上のことを考えられない・・・のは女性じゃなく、男性ですよ・・・と思った一同なのであった
・
・・
・・・
後日、図書館にて・・・
フィル「♪~♪~~」
今日もフィルはカウンターにて黙々と読書を行う・・・
司「・・・な、なぁ・・・フィル・・・」
フィル「はい?」
と、そこへ、司が登場、フィルに相談を持ちかける。
司「・・・本を贈ったはいいが、相手が既にその本を持っていた場合・・・どうすればいいと思う・・・?」
フィル「・・・」
司「・・・」
早速司も本を贈ってみた・・・けど失敗した模様
フィル「あう~~~」
そして・・・相手が既に本を持っている・・・ことは想定していなかったフィル。
茜薙「フム。それは・・・しかし、世の中には『保存用』、『観賞用』、『布教用』などと同じものをいくつも
持っているというケースもあると聞いたぞ」
と、そこへ話を聞いていた(いつの間に?)茜薙が登場し、サラリと語る
司「いや、それは・・・違うぞ・・・」
フィル「・・・一般の人はそんなこと、しない・・・と思います」
※念のためですが、茜薙がオタクなのではなく、たまたまそんな知識を間違って仕入れてしまっただけです。
天蓋の徒ってたまに間違った知識を常識のように使うことがあるので・・・これは、天蓋の徒で使用している
データベースに問題があるのだろうか?
・・・しかし、既に持っているとか、まだ持っていないというのはさして問題では無く・・・肝心なのは、
相手を想って贈る・・・そういう気持ちなのではないだろうか?
・・・ところで、今日は茜薙は何をしにきたのかと言いますと・・・書籍にハマったご様子でこれからは図書館
をよく利用しようと決めたからだそうです。
茜薙「おお!いつの間にか新書が入っているではないか!!」
嬉しさのあまりつい大声で叫ぶ茜薙
フィル「あう~~~、図書館ではお静かに・・・」
茜薙「・・・」
そのうち、茜薙もキれたフィルによる悪夢という洗礼を受ける日が来るかもしれない・・・
END
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