Eighter -Verdant Nightmare-
7ther 〜虹の彼方に傾く者 B〜



#3
零道漓(プルウィウス)「グッ……このっ……」
白拍子かんな「ハッ!」
 猛攻に次ぐ猛攻。さしものかんなも攻撃し続けていれば息切れもする。
梓與鷹(よたか)「……かれん、お前は助太刀しないのか?」
白拍子かれん「まぁ、いまはかんなのターンだからね。私はちょっと力を温存しているわけよ」
 寝そべり、ぼけ〜っとしながらそんなことをのたまうかれん。どこからどう見てもさぼっているようにしか見え
ない。
 與鷹(よたか)の視線が鋭く突き刺さるが、蛙の面に水と言ったところだ。
かれん「かなり姉さんもいないんだし、たまには私にラクさせてよね〜」
 ん〜〜、かなり姉さんがいないと気が楽だわ〜とのびのびするかれん。
 コツコツコツ……
 しかし、突如として悪魔の(あしおと)が忍び寄る。
白拍子かなり「死の雨が上がると、そこには絶望の虹がかかるのよ」
かれん「ギャ〜〜〜ッ!出た〜〜!?」
 かなり、無傷で登場
零道漓(プルウィウス)「なっ、馬鹿な……」
かれん「かなり姉さん、死んだはずじゃあ!?」
 馬鹿な!?流し切りが完全に決まったはずなのに……というのは正しくこのことを言うのだろう。
 そして、ダラダラと冷や汗が止まらないかれん。
※かれん終了のお知らせ。かれん先生の来世(次回作)にご期待ください。
かなり「オ〜ッホッホッホッホッ、この私が、あの程度で死ぬとでも思って?」
 真殺影刃(鉄扇)で口元を隠しながらタカビーに笑うかなり。
(かみ)総介「フッ、これで奴の命運は決まったも同然だな」
山咲(やまざき)桜「ちなみに、『奴』と言うのはこの場合、零道漓(プルウィウス)とかれんのどちらなのでしょうか?」
 答え:どっちもである。
かなり「さぁ、行くわよ、かんな」
 ぎゅるんと真殺影刃を大鎌の形に変化させるとかんなの隣に並び立つ。
かんな「……ええ、行きましょう。かなり姉さん」
零道漓(プルウィウス)(なっ、何ぃ!?馬鹿な……奴は最早、疲労困憊。それなのに、なぜまだ戦える?!なせ諦めない!?……
なぜそんな目をする!?)
茜瑙哭(セドナ)(それが人間と言うものだよ、『旻天(びんてん)』)
零道漓(プルウィウス)(なん……だと!?)
 ビカアッ
零道漓(プルウィウス)「ぐっ!?」
 かんなとかなり、その額の『位』と『技』の紋章が一際眩い輝きを放つ。
かなり「さぁ!零道漓(プルウィウス)!死ぬか覚悟はできているかしら?」
零道漓(プルウィウス)「死ぬのは、貴様らの方だ!」

#4
 叫ぶと同時に剣を天高く放り投げる零道漓(プルウィウス)。そのまま切り飛ばされた右腕の元に駆け寄るとその右腕を手に取り
繋ぎ直す。
かなり「どうしたの、零道漓(プルウィウス)?人間の相手如き片腕で十分じゃなかったの?」
零道漓(プルウィウス)「気が変わった!貴様らはここで殺す!驀愀剿(ばくしゅうそう)!」
 バシリッ、ズドンッ
 そして、落下してきた剣を右手で受け取るとすぐさま斬り下ろしを行う。
かんな、かなり「はっ!」
 しかし、超運で察知できるかんな、かなりの前にそれは無意味。
 だが、その時、不幸な出来事が起こった。零道漓(プルウィウス)が放った超高速の斬り下ろし、その直線状にはかれんがいたの
だ。
かれん「って、うわああっ!?」
 奠夷瑪(ディーヴァ)の加護を最大限に発揮し、予兆共鳴者(オーメンレゾナンス)光焔熾(こうえんし)KR耀(こくげんよう)で発動した炎の刃を重ねて、なんとか防ぎきるか
れん
驀愀剿(ばくしゅうそう)は防げないのではなかったのか?
かなり「あぁ、私の妹……諸君らが愛した妹のガ○マが死んだ……何故だ!?……坊やだからさ!」
かれん「いや、死んでないし、○ルマでもないし!、そもそも『坊やだからさ』は別人のセリフだし」
 だが、かれんは薄々感づいていた。こうも都合よく自分のところに技が飛んでくるものだろうか……いや、そん
なことはない。これはすべてかなりの陰謀だと。
 先ほどかなりがいないことをいいことにアレコレ考えていたことに対する嫌がらせだ。かなりならば絶対にそう
する。(それにかなりの超運をもってすれば造作もないのと、かんなはそんなことをしないという信頼もある)
かなり「さぁ、かんな!無駄死にしてしまったかれんの死を無駄にしないためにも、何としてでも零道漓(プルウィウス)を倒すわ
よ」
かれん「無駄死にを無駄にしないって意味が分からないんですけど……」
 だが、かれんの突っ込みは無視する!
零道漓(プルウィウス)「三人纏めてあの世へ行けや!」
 ドスッ
零道漓(プルウィウス)「ガハアッ!?」
 だが、その時、突如背後から零道漓(プルウィウス)を剣が貫く。
 それは、與鷹(よたか)らがここへ来る途中で見かけたトバリの像が天に掲げていた剣。
零道漓(プルウィウス)「貴様ッ!」
 零道漓(プルウィウス)が振り向くと、そこには剣を携える半透明のトバリの姿があった。それは、死してなお、零道漓(プルウィウス)を封印す
るという意思の塊。

#5
 じゃららららっ
零道漓(プルウィウス)「ガアアアッ!?」
 四つの(とばり)の星珠が鎖となりて零道漓(プルウィウス)を縛り上げる。
 かくて、零道漓(プルウィウス)は再び封印されるのであった。
総介「フッ、終わったな……」
與鷹(よたか)「まさか、こんなことが起こるとは……」
 それは、褐色の怪しいメイドさんにとっても同様である。これで『蒼天』に続いて『旻天(びんてん)』までも復活を阻止さ
れることとなった。
メイド(やはり、あの時、亡霊を排除しておくべきだったか……)
 だが、今更悔やんでも仕方のないことである。
総介「これでひとまずは大丈夫なんだろう?」
レース・アルカーナ「あ、あぁ……そうだな。これ以上ない位に上出来だ」
総介「だそうだ。ここでやるべきことも全て終わった。帰るぞ!」
 それだけ言い残すと総介は颯爽とその場を後にする。そして、與鷹(よたか)らもそれに続く。

 かれんもそそくさと還ろうとしたが、ガシリとかなりに肩を捕まれる。
かなり「かれん、こんな言葉を知ってる?『無に帰るまでが遠足です』と」
かれん「そんな言葉あってたまりますか!」
 その後、かれんがどうなったのかは語るべくもない。


END

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