Eighter -Verdant Nightmare-
3rder 〜冥春を封じる護符 B〜



#3
白拍子かなり「さぁ、かれん!好きに暴れなさい!」
白拍子かれん「いや、少しは休ませてほしいんですけど……」
かなり「じゃあ、休んでいいわよ。涅槃でねッ」
 ズガッ
かれん「ひっ!?」
 かなりの目が怪しく光ったかと思うと大鎌を振るう。そんなかなりに危機感を覚えたかれんはしゃがむ……と同
時に先ほどまでかれんの首があった場所をかなりの大鎌が素通りする。
 一瞬でも判断が遅れたら派手に首が飛んでいたと思うとゾっとするかれんであった。
かなり「うふふ、かれん、休みたいんでしょ?少し大人しくしなさい。すぐ楽にしてあげるから」
かれん「い、いえ、もう休憩は終わりました。休みなんていらないです。休日出勤も徹夜連勤もサイコー!」
※お前はどこのブラック企業の社畜だよ!
(かみ)総介「何をやっているんだあいつらは……」
 さておき、かれんとかなりが馬鹿やっている間、かんなは一人泱硫堕(オルクス)と激しいつばぜり合いを繰り広げていた。
泱硫堕(オルクス)「フッ」
白拍子かんな(これが『蒼天』の破壊神……)
 ニヤリと笑みを浮かべる泱硫堕(オルクス)。先ほどの力こそパワーな脳筋かれんとは違ってかんなは泱硫堕(オルクス)にとって与しや
すい相手だった。
 ……と、思っていたが、すぐにその考えは覆される。
泱硫堕(オルクス)(な、なんだコイツは!?)
 無意識のうちにかんなを誘導し、自分でも気づかない内に隙を作らせてそこに攻撃を繰り出しているのだが、し
かし、その攻撃は(ことごと)くかんなに防がれていた。
 一拍子遅れて気づいているのならば、防御が間に合うはずがない。
 だというのに防御が間に合っているのは単純に運がいいからだ。かんなやかなりクラスの超運の持ち主になれば
どこから攻撃が飛んでくるかが運でわかる。そして、攻撃が来る場所が分かっていれば防ぐことも簡単だ。
かなり「あなたの相手はかんなだけじゃないわよ」
泱硫堕(オルクス)「な、何!?」
 いつの間にか背後から迫るかなりに、泱硫堕(オルクス)は気づかなかった。
 ギンッ
 すぐさま振り返ると同時に迫る大鎌を剣で受け止める泱硫堕(オルクス)
 ……気が付いたら攻撃を受けている。それは、正しく先ほどまで泱硫堕(オルクス)がやっていた攻撃だ。
泱硫堕(オルクス)「貴様ぁッ!」
 それを浚澄羽帝(サラスヴァティー)世界の破壊神の加護を受けているとはいえ、一介の人間如きに返されることに泱硫堕(オルクス)は驚愕と共
に怒りを覚えた。

#4
かなり「オ〜〜ッホッホッホッホ、私がただ単に暇つぶしでかれんをいびっていたと思っていたら大間違いよ!」
 絶対に暇つぶしだろ!とは死んでも突っ込めない一行。
泱硫堕(オルクス)「貴様ら、あまり巫山戯(ふざけ)るなよ!」
 ずおおおっ
 またしても剣を天高く掲げると空間が歪み、闇が集う。
かれん(またさっきのが来る!)
 じゃりぃんっ
泱硫堕(オルクス)「なっ、にぃ!?」
 凝縮した闇を剣閃として放とうとした次の瞬間、突如として天高く掲げた剣に鎖が巻き付き、その動きを封じる
泱硫堕(オルクス)「な、なんだこれは!?」
 じゃらり、じゃらり……
 それだけではない、まるでヘビの様に数多の鎖が泱硫堕(オルクス)の体を這いより、縛っていく。
レース・アルカーナ「多少予定が狂ったが、これで再封印は完了だ!」
山咲(やまざき)桜「これは!?」
 気が付くと、床の魔法陣が淡く光を放っていた。
 パキパキパキッ
 更に、泱硫堕(オルクス)の体が氷で覆われていく。
泱硫堕(オルクス)「ばっ、馬鹿な……これはっ!?」
茜瑙哭(セドナ)(これは、『氷』の破壊神!?)
女王禍(ジョーカー)(またしてもあなたに助けられたということですか……)
 奴らはこの地で『氷』の破壊神の肉体を使い、微朱主(ヴィシュヌ)を復活させようとした。
 しかし、その目論見は失敗し、微朱主(ヴィシュヌ)を宿した刺舞鴉(シヴァ)の肉体は粉々に砕け散った。
 そして今、その残滓とでもいうべきモノが泱硫堕(オルクス)を封印する。
泱硫堕(オルクス)「ぐ、ぐおおおっ……貴様ら……いつか必ず……究極の名のもとにッ」
 パキィインッ
 その続きを告げる前に、泱硫堕(オルクス)は氷で閉ざされる。

総介「フッ、どうやら終わったようだな……」
 結果だけを見れば、泱硫堕(オルクス)の封印は成功と言えよう。
 しかし、それは場所と時間とタイミングが重なった偶然の産物であり、運がよかったとしか言いようがない。
※まぁ、それを引き当てるのがかんな、かなりの運なんですが……
桜(……いつの間にかレース・アルカーナの気配が消えています……)
総介(フッ、大方仕事をやり遂げたことで早々に退散したのだろうよ……)
かなり「さぁ、帰るわよ。無に帰るまでが遠足なのだから、ね!」
 いや、これは遠足じゃねぇし、無に帰っちゃアカンやろ……と一行は心の中で盛大に突っ込むのであった。

#5
 かんならが立ち去って暫くの後、褐色の怪しいメイドさんが現れる。
メイド「まさかこんな結末になるとは……」
 彼女は氷に閉ざされた泱硫堕(オルクス)に触れながら、ぽつりと漏らす。
メイド「……『氷』の破壊神、どこまでも我らの邪魔をするか……」
 ぐぐぐぐっ
 怒りを込めて、泱硫堕(オルクス)を覆う氷を掴んで握り潰そうとする……が、すぐさま止める。ここで、泱硫堕(オルクス)を砕いてし
まっては元も子もないからだ
メイド「仕方ありません。『蒼天』は後回しにしましょう……先に『旻天(びんてん)』の封印を解きましょう」
 そして、褐色の怪しいメイドさんは、もはや屋根の意味をなさなくなるほど大きな穴が開いた天井から月を見上
げてそんなことを呟く。
 
 滅壊四魔貴族……その名が示す通り、それは四柱からなる破壊神の組織である。
 『蒼天』の泱硫堕(オルクス)、褐色の怪しいメイドさん、言葉遣いの怪しいメイドさん、そして『旻天(びんてん)』……
 奴らが『旻天(びんてん)』の破壊神の封印を解こうとするのならば、今回と同様に再封印しなくてはいけないが、果たして
……


END

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