Eighter -Scarlet Nocturne-
51ster 〜降真靈は辛くない B〜
#3
反永「あのお方がどんな存在なのか……だが、今はそんなヒマはない！」
慈円「ですね……」
陀疎「そんな……」
まだ信用されていない……と言うわけではないが、それでも、伝えてもらえないことに陀疎は少なからずショッ
クを受けていた。
韻麗「今は時間が惜しい」
話はそこまでだと言わんばかりに一行はその場を去っていく。
慈円「あなたは配下と共に山門の掃除でもしていてください」
一人取り残される陀疎。ただ、山門の掃除を言いつけられたため、急いで元咲魔の配下と共に掃除へ向かうので
あった。
陀疎（しかし、この組織のNo.1……一体どんな人物なんだ？）
何も情報がないゆえに、どんな人物なのか全く想像ができずにいた。
カラン、コロン
陀疎「な、なんだ？」
暫く掃除に専念していると、突如下駄か何かの音が聞こえる。
カラン、コロン、カランカランコロン♪
陀疎「ゲゲゲの鬼○郎かよ！」
無駄にリズミカルなステップで下駄の音が近づいてきて、思わず放棄を地面に叩きつけて陀疎は突っ込みを入れ
た。
そして、暫くすると、山門へ和服の少女がやってきた。下駄の音の持ち主は間違いなくコイツである。
陀疎（なんだコイツ！？）
謎の和服少女は陀疎を一瞥するとそのまま山門をくぐろうとする
陀疎「ちょっと待て！」
謎の少女を通しては大神の降真靈の名が廃る。陀疎はすぐさま元咲魔の連中と共に謎の和服少女の行く手をふさ
ぐ。
＊「なんじゃ、お主ら、わっちの邪魔をする気かえ？」
しかし、デミカナリアクターと陀疎に囲まれても堂々とした立ち振る舞い。
陀疎（こいつ、只者ではない……な、なんだ？）
それだけではない、彼女からは絶対的強者から放たれるような圧を感じる。
＊「遊んでほしいのかえ……仕方のない奴じゃ……」
すっと右手の甲を翳す少女。
一同「なっ！？」
そこには赤と青の四角を組み合わせた八芒星に-IVの数値が刻まれていた。それは即ちヴァルカナリアクターの
証。
＊「わっちは《時刻天》のヴァルカナリアクター」
陀疎「ヴァルカナリアクター……だと！？」
ならば、敵襲か！？と、陀疎と元咲魔の連中は身構える。
#4
いかに相手がヴァルカナリアクターであろうと、これだけの数のデミカナリアクターを相手にすることは困難な
ハズ……
＊「幽闘術、泡沫の夢と熄ゆ……」
ぶわあっ
陀疎「な、なんだ！？これは……シャボン玉！？」
パァンッ
元咲魔「ぐああ！？」
シャボン玉の一つが量産型デミカナリアクターの証に触れ、弾けると、その証も消える。
そう、これは泡に触れたものを弾けさせるエクストラスキル
陀疎「な……んだと！？」
気づけば周りを無数のシャボン玉が浮遊しており、それらが元咲魔に触れるとパチンと弾け、元咲魔からデミカ
ナリアクターの力が失われていく。
陀疎（これは……マズい……）
影でいろいろなものを生み出すエクストラスキル、影の道極みをもってして生み出したモノも、少女が生み出し
たシャボン玉に触れれば立ちどころに弾けて消える。
ならば、死を賭して奴を止めるのみ！
陀疎の命にコクリと頷く元咲魔はそのまま寄ってたかって謎の少女に飛び掛かる。
パアンッ
元咲魔「ぐあああ！？」
しかし、人もモノも、全て等しくシャボン玉に触れると弾けて消える。
韻麗「何の騒ぎ、だッ！？」
慈円「これは一体いぃッ！？」
騒動を聞きつけて、韻麗、慈円だけでなく反永までもが山門に終決。そして謎の和服少女を見るや否や、全員が
その場で傅く。
陀疎「な、ななな！？」
しかし、陀疎も馬鹿ではない。組織のNo.2たる反永までもが傅く相手……それはもう一人しかいない。
反永「袰烏様……」
そう、この和服少女こそが大神の降真靈の大僧正、袰烏である。
その位は闇人。反永ら高僧……禍者よりも上の位にあるにあたる存在なのだ。
ちなみに余談であるがノイエDAのリーダー格は卑者という位にある。そして、この卑者、禍者、闇人というモノ
は聖職者のランク、尊者、福者、聖人の逆位置に当たる存在である。（まぁ、対義語になってるしね）
※ってか、大神の降真靈、第一人称が『わっち』、袰烏という名前……トリプルアウトだコレ。
それはさておき、組織のNo.1、袰烏がやってきたその目的とは一体！？
続
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