Eighter -Scarlet Nocturne-
43rder 〜小国に消えた影札(ヴァルカナ) B〜



#3
マイク・ビーツ「改めて名乗らせてもらおう。シーランド公国・公太子、マイク・ビーツ。《従僕(フットマン)》のヴァルカナ
リアクターだ」
梓與鷹(よたか)「公太子殿下!不幸にもヴァルカナリアクターになってしまった心中はお察しします。ですから今は……」
(かみ)総介「公太子殿下がヴァルカナリアクターだと知れ渡れば、生命が危ない!」
 しかし、マイクはそんな忠告もどこ吹く風だ。
マイク「……そうか、やはり貴様らは我が国土を脅かす外敵」
化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)「だ、ダメだこいつ、話が通じない!」
総介「仕方あるまい、多少強引にでも、奴を連れていくしかない……」
マイク「……ユーサーの言葉は正しかった」
 ぽつりと呟くマイクの言葉に一同は戦慄した。
一同「なんだと!?」
與鷹(よたか)(まさか、コイツ、ユーサーから直接ヴァルカナを受け取ったのか!?)
総介(……ありえる)
 與鷹(よたか)と総介がそんなことを考えていると、マイクは更に続ける。
マイク「ならば、我が幽闘術、小さきことは良き事なり(ミニマム・イズ・ステータス)を見せてやろう!」
與鷹(よたか)「なっ!?既に幽闘術まで!?」
総介「チッ、ユーサーの野郎から一通りのことは聞いていたというわけか……」
 ずおおおおっ
 マイクからただならぬ気配を感じる。
梶太郎(かぢだろう)「な、なんだ……心なしか奴の存在を大きく感じる……」
総介「違う!逆だ!」
與鷹(よたか)「え!?逆ってどういうことだ?」
山咲(やまざき)桜「周りと自分自身を見てください。相手が大きくなって見えているのではなく、こちらが小さくなっている
んです」
一同「なんだと!?」
 マイクが大きく見える……のではなく、Eighter一行が小さくなっている。
 ならば、当然、客観的に相手が大きく見えるのは道理だ。
與鷹(よたか)「まさか、これが奴のヴァルカナの力!?」
総介「……おそらくは触れたものを小さくする……そうか、あの時の握手がトリガーか……」
梶太郎(かぢだろう)「くそっ!俺に握手をする習慣はねぇ!って突っぱねればよかったぜ!」
※お前はどこのゴ〇ゴ13だよ!
與鷹(よたか)(なぁ、これ、元に戻れると思うか?)
総介(フッ、奴を倒せば、あるいは……)
與鷹(よたか)(やっぱりか……)
梶太郎(かぢだろう)(ヘッ、奴を倒せばいいのか、簡単じゃねぇか!)
 と、言うわけで考えなしに突っ込んでいく梶太郎(かぢだろう)

#4
梶太郎(かぢだろう)「おらぁ!」
 ぼこぼこぼこっ
マイク「今何かしたか?」
梶太郎(かぢだろう)「なっ、双虎拳が全く効かない!?」
総介「こちらが小さくなっているんだ。その結果威力が激減しているということだ」
梶太郎(かぢだろう)「ならば行くぜ!虎伏絶掌(こふくぜっしょう)双虎漣天殺(そうこれんてんさつ)!」
 薙ぎ払う蒼虎薙(そうこてい)、貫き手を食らわす黄虎蹄(おうこてい)、肩から刳り込みをかける白虎噛(びゃっこごう)、心臓を刳り取る鋭い掌底の黒虎咬(こっこきょう)、
そして、虎の咆哮の如き衝撃波の銀號懺月(ぎんこうざんげつ)を繰り出す連続攻撃。
マイク「ぐほおっ!?」
與鷹(よたか)神狼九断(しんろうくだん)来護重(らいごうえ)!」
 九つの拳打を一つに束ねて一点突破させる豪の必殺拳。
マイク「げふぉあっ!?」
 小さくなっても最大火力を叩き込めば、案外なんとかなるものである。
マイク「て、てめぇら……」
 よろよろと後退るマイク。
梶太郎(かぢだろう)「おっしゃあ!このまま攻めればいける!」
 手ごたえを感じた梶太郎(かぢだろう)は一人ガッツポーズを決める。
マイク「なめるな!小僧がッ!」
梶太郎(かぢだろう)「誰が小僧だこの野郎!」
※いや、見た目は小さいんで……
 梶太郎(かぢだろう)を目の敵に、怒りに任せて張りてを食らわしにかかるマイク
梶太郎(かぢだろう)「へっ、そんなモンで双虎拳をどうにかできると思うなよ!」
総介「避けろ!」
梶太郎(かぢだろう)「あぁ!?何を馬鹿なことを言ってやがる?素人同然の繰り出す拳を避けるなどと貴様は拳法家としての誇
りはないのかッ!」
與鷹(よたか)「触れられれば小さくなる……それが奴の使う幽闘術なんだぞ!」
梶太郎(かぢだろう)「はっ!?」
 バチィインッ
梶太郎(かぢだろう)「ほんげぇ!?」
 気づいたときにはすでに遅し。素人同然のマイクが繰り出す張り手を食らい、吹き飛ぶと同時に更に縮んでいく
梶太郎(かぢだろう)。
 そもそも、小さくなっているのだから、素人同然のマイクが繰り出す張りてと言えども、侮ってはイカンのだ。
 敵の攻撃を食らうわけにはいかず、そして、最大火力を叩き込まなければならない。長引けば長引く程に不利に
なる戦いがここにあった。
與鷹(よたか)「お前はもう下がってろ!」
梶太郎(かぢだろう)「クソッ」
 最早戦力外になってしまう梶太郎(かぢだろう)なのであった。


続

前の話へ  戻る  次の話へ