Eighter -Scarlet Nocturne-
16ther 〜凱旋門に影傑現る B〜



#3
 Eighter、有嗎幇(ユーマハン)がオルレアン四天王に苦戦している頃、ノース光輪結社、大神の降真靈(こうしんりょう)はというと……
タンジェント「どうだ!貴様らの攻撃は我らに無意味だろ分かったか!?」
バックスヤド「そうと分かれば立ち去れ!……で、あれば我らもこれ以上の追撃はせぬ!」
弥如(びぎん)「そういうわけにもいきませんねぇ……」
クラウド・ノシュケー・マルーメ「ノース光輪結社の大願成就の為にはヴァルカナは必須なんでな!」
タンジェント、バックスヤド「ならば、排除あるのみ!」
弥如(びぎん)「私が得意とするのは仏門獄曼掌(ぶつもんごくまんしょう)だけではないということを教えて差し上げましょう」
 しゃなりと轟曦真靈杖(ごうきしんれいじょう)を鳴らして呟く弥如(びぎん)
クラウド「愚かな……貴様に神の裁きを与えてくれるわ!」
 忘れているかもしれないが、ノース光輪結社や大神の降真靈(こうしんりょう)は聖職者の軍団である。
 つまり、広義で言えばゴーストバスターであるとも言える。
※本当か、それ!?
弥如(びぎん)「南無阿弥陀仏!」
クラウド「イエスキリストノータッチ!」
タンジェント、バックスヤド「フッ、何をしようと無駄無……馬鹿なぁッ!?」
 弥如(びぎん)が奈美阿弥陀仏と唱えつつ轟曦真靈杖(ごうきしんれいじょう)を振り下ろす。
 クラウドがイエスキリストノータッチと叫びつつ刀を振るう。
 ただそれだけのことであらゆる攻撃を無効化してきたオルレアン四天王にダメージが入る。いや、と、いうより
も、ダメージが通った部位が消滅する。
タンジェント「貴様は、まさか、聖職者?!」
バックスヤド「マズイ……このままでは……」
 じりじりと後退していくタンジェント、バックスヤド。さっきまでの威勢はどこへやらである。
 もはや趨勢は決まったか!?
タンジェント「だ、だがッ!」
バックスヤド「聖職者の『せい』は、性行為の『せい』」
 なんか無茶苦茶なことを言いだすタンジェント、バックスヤド
弥如(びぎん)「さぁ!仏の慈悲を受け入れなさい。さすればあなた方は二階級特進することができます」
 いや、それ死ぬって意味だろ……ってか、相手はもう死んでるんですが……
クラウド「主はこうおっしゃられました。ワインがなければ生き血を啜ればイイジャナイ……と」
 いや、確かにワインはキリストの血って言われているけどキリストはそんなことは言わない。

#4
 さておき、タンジェントとバックスヤドは消滅した部位を近くのスケルトンから補充して再戦に挑む。
 しかし、腐っても聖職者たる弥如(びぎん)とクラウドを相手にそれは焼け石に水であろう。
梓與鷹(よたか)「くそっ……このままではヴァルカナが奪われてしまう……」
 まだ有効な手立てを確立できずにいるEighter、有嗎幇(ユーマハン)連合軍はノース光輪結社、大神の降真靈(こうしんりょう)の方を見ながら
毒づく。
御御脚(ユウ・ユウジャオ)「しかし、現状でハ……」
 そう、このまま死合を続けても、疲弊するだけだ。
 と、その時、この場に謎の人物が舞い降りる。
化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)「おい、なんだあいつ!?」
與鷹(よたか)「え?何?」
 それは先ほどアドラが遣わした謎の存在であった。
出音(でおん)・グロウシュベル「そこのお前、危ないから下がっていろ!」
*「合図と共に攻撃を……」
與鷹(よたか)「この声……女?」
御脚(ユウジャオ)「な、何だト?」
*「早く!」
 彼女の言葉には有無を言わさぬ凄みがあった。
御脚(ユウジャオ)「仕方あるマい」
與鷹(よたか)「やるしかないってか……」
ブレストルク「何をするかは知らんが」
フロンテスタ「無駄な足掻きよ!」
*「今ッ!」
 叫ぶと当時に彼女は懐から何か液体が入った瓶を取り出すと栓を開けて中身をブレストルク、フロンテスタ目掛
けてぶちまける。
與鷹(よたか)「ええい、もう、どうにでもなれ!神狼九断(しんろうくだん)!」
出音(でおん)「おおおおっ!陽明閃刃破(ようめいせんじんは)!」
 ズドドドドドドドドドッ
 ズシャアアッ
與鷹(よたか)出音(でおん)「こ、これは!?」
 シュウウウッ
ブレストルク、フロンテスタ「馬鹿なっ!?貴様、何をした!?」
 彼女がぶちまけた水が、スケルトンの異常な不死性を無効化、いや、(むし)ろ浄化していく。そこへ與鷹(よたか)の拳や出音(でおん)
の剣が叩きつけられたことで、漸くダメージが通ったのだ
御脚(ユウジャオ)「なるほド、聖水といウわけか……」
※なお、御脚(ユウジャオ)が参戦しなかったのは彼の幽闘術が炎を操るから流石にまずいかなって思ったためです
*「いえ、単なる灰汁(アク)よ……」
一同「え!?」
 灰汁(アク)ぅ?!と思わず聞き直す一行であった。誰だってそうなるよね。
*「この機を逃さず畳み込んでください!早く!」
與鷹(よたか)「……今は問答をしている場合ではなさそうだな……」
出音(でおん)「仕方ねぇ……」
 彼女の正体も気になるが、今はオルレアン四天王を倒すのが先決だ。


続

前の話へ  戻る  次の話へ