Eighter -Practical Era-
17ther 〜中国四千年の卓球 D〜



#7
 長野農多林高校が誇る卓球の三神……だが、その神話は今、天四斗あまよと工業の手によって崩れ去りつつある……
 果たして……
楠木南「……はぁ、疲れた、めっちゃ疲れた……疲れたっていうか、憑かれた……?」
一同「……」
 勝負を終えてとたんにだらしなくなる南。そんな南を見て呆然とする一行
*「……曹家流卓球をも破るとは……なんたることでしょう……」
 愕然としか感じの台詞を何の感慨もないかの如く喋るのは次なる相手。劉家流卓球の伝承者である
テ金しんかね心「次は私の出番よ……みんな、お姉さんの活躍を応援してね」
*「私は劉家流卓球のいくすとら……私を孫家や曹家と同じだと思ったら痛い目に遭うわよ」
心「ふぅん?」
いくすとら「劉家流卓球……それはまたの名を琉卓球……琉とは輝くの意味であらゆるスポーツの中で唯一輝く球技
なのよ!」
心「何でもいい……はじめましょう」
 そう言って心は先にサーブを決める
すとら「まだ、私の話は終わってないわ!」
 カコンっと心の打つピンポン玉を返しつつすとらが叫ぶ
すとら「劉家流卓球は悪を象徴とする球技……墳破ふんはッ!」
 気合一発、ピンポン玉を殺気を込めて叩きつける
※いやいや、スポーツマンシップ的に悪を象徴するスポーツで勝負に挑むのはいかがなものか……
心「よっと……」
 だが、そんな殺気のこもったピンポン玉をこともなげに打ち返す心。
 さすが、天四斗あまよと工業で全校生徒の姉を自称するだけのことはある……(いや、何の関係が?)
 ……その後、二度あることは三度あると言いまして、またしても地味〜にラリーが続く……

 そして……

すとら「……ふふん、籠手調べはここまでよ……劉家流卓球の恐ろしさ……受けてみなさい!暗球霏弾あんきゅうひだん!」
 ズオオオオアアッ
心「ッ!」
 突如としておぞましい気が心を蝕む
 その結果として一瞬動きを止めてしまい、心はすとらに得点を許してしまう
すとら「これぞ、劉家流卓球の真髄……あなたは私の前に恐怖で動けなくなる……」
心「……少しは出来るじゃないか……」
 天四斗あまよと工業全校生徒の姉として油断してしまったよ……と心
 いや、もう、それはいいから……
すとら「このまま千百九ある必勝破点ストライクゾーンにピンポン玉を叩き込んであげるわ!」
 おぞましい氣を四方八方にふりまきながら、渾身の一打を繰り出すすとら
心「だが、甘い!これしきの恐怖で身が竦んで動けなくなるとうでは生徒会長……いや、天四斗あまよと工業全校生徒の姉
は名乗れない!」
 叫びつつピンポン玉を弾き返す心
 いや、そこは姉じゃなくて、生徒会長でいいから……そして、生徒会長だからって恐怖で身が竦んで動けなくて
もいいじゃない……

#8
すとら「やるじゃない……流石生徒会長なだけはあるようね……だけど、劉家流卓球の真髄はまだこんなものじゃ
あないのよ!暗球天弾あんきゅうてんだん」
 ゴゴゴゴッ
心「なっ、これは……」
 今までにないおぞましい気が心を包み込み、自身の位置を見失わせる
 と、同時に強烈な一打を繰り出すすとら
すとら「どう?劉家流卓球の恐ろしさが分かったでしょう……」
心「いや、まだだ!そのよなモノ、姉力の前では無効」
 何だよ!姉力って!
すとら「虚勢を……暗球天弾あんきゅうてんだんッ!」
心「……」
 何か対抗策でも見つかったのかと思いきや、短時間でそんな裏技みたいなものが見つかるはずもなく、再び、自
身の位置を見失い、得点を許してしまう心
嘱口属しょっこう・やから「こ、これが劉家流卓球……」
 見ているだけでも恐怖を感じる……とか言い出すやから
※いや、もはや、これ卓球じゃないよね……
心(さて、どうしたものか……)
 すとらに一方的に責められている心はふと得点ボードをチラ見しながら考える。
 現在7-0……卓球は基本的に11点先取の7ゲーム制。夏、南が勝利し、ここで負けてもまだ挽回のチャンスはある
かもしれないが生徒会長として負けるのは示しが付かないところである。
 なお、夏、南、心、やから以外のプレイヤーは誰なのかと言いますと……それは、名乗ることを許されない下級の卓
球部員である。
 ……つまり、この四人が勝てなければ必然的に天四斗あまよと工業が負けちゃうってな意味なのでは……?
 まぁ、最後にはこの話が始まってから一切出番が無かったりするのだが、運の女神こと、かんなが持ち前の超運
でなんとかしちゃうんだろうけど(そんな身も蓋もないこと言わないで……)
すとら「劉家流卓球は何ものにも勝る悪!貴方では私に勝つ事は出来ないわッ!」
 またしてもインチキな暗球天弾あんきゅうてんだんを使ってのサーブ
心「私をあまりなめないでよね!」
 ババババババッ
すとら「なっ……」
 目にもとまらぬ速さとは正にこのこと、迫るおぞましい気を全て回避して、打たれたピンポン玉を打ち返す心
すとら「しまっ!」
 反撃の狼煙……とうとう、心がすとらから一点をもぎ取る
心「これが、姉力よ!」
すとら「くっ……あ、姉力……なんて恐ろしい」
 片膝をついて震えだすすとら
一同「いやいや、姉力って何だよ!」
 寧ろ、おぞましい気を四方八方に投げつけるアンタの方が数倍恐ろしいよ!

#9
心「暗球天弾あんきゅうてんだんの弱点……それは、絶えず動き回るものには効果が無い!」
すとら「くっ……まさかこの短時間でそれに気付くなんて……」
心「さぁ!今度はこっちから行くわよ……貴方にも味わわせてあげるわ!姉の恐ろしさをね!」
 まるで進化を司るエネルギーで動くロボットのパイロットのような感じせ叫ぶ心
 これからガンガンガンガンに責め立て、若い命が真っ赤に萌える……のか!?


END

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