Eighter -Noble Gathering-
43rder 〜強権は怨々おんおんと唸る A〜



#0
ある日Eighterに舞い込んだ依頼……自分のアンドロイドの技術が盗まれた……と言い出したのはSHILシール日足ひだり孝一
とリヴァース・レインボーのイヤフォルン・アーチボルト……
しかし、彼が言うには盗まれたのは顔つきだの、スラリと伸びた足だの腕だの……
與鷹よたかは依頼を受けなくてもいいかな……と思っていたのだがしかし、盗んだ先の悪戴音アクタイオンインダストリーは
九大オーパーツCPがひとつ、ツェルツラを持っていた……
そうして悪戴音アクタイオンインダストリーに乗り込んだ一行の前に、悪戴音アクタイオンインダストリーのキリングドールが立ちはだかる

#1
試作機プロトタイプキリングドール……マリー……それは徒手空拳特化型……そして、與鷹よたかが彼女に挑む
梓與鷹よたか(……疑似信念か……やれやれ……ツェルツラのパーミッション変更で勝手に手に入れた技術をあたかも
 我がもののように使うなどと……)
マリー「……解析完了……流派、双狼拳……数多の徒手空拳の頂点に位置する、最強の拳法の一つ……」
與鷹よたか「こいつ……」
たった数回の手合わせでそこまで見抜くか……と與鷹よたか……
與鷹よたか(ならば……)
双狼拳の全てが相手に筒抜けになっていると悟った與鷹よたか……
與鷹よたか(いや、まさか……)
もしや……ゆたかのように裏奥義までも身につけているのでは……と戦慄を覚える與鷹よたか
マリー「……来ないのですか?……では、こちらから行きます」
そして、マリーは分身し、與鷹よたかに襲いかかる……それは、双狼拳・魔狼幻惑まろうげんわく與鷹よたか「ちっ……魔狼幻惑まろうげんわく!」
ガガガガガガガッ
分身には分身……與鷹よたか魔狼幻惑まろうげんわくをもってしてマリーに激突する
マリー「幻狼襲げんろうしゅうッ」
ゴギャンッ
闘気の拳が與鷹よたかを弾き飛ばす
與鷹よたか「くそっ……点駈狼てんくろうッ」
吹き飛ばされた與鷹よたかは、すぐさま体勢を立て直すと同時に一足飛びにかかり闘気の刃で斬りかかる
ザガンッ
マリー「……」
與鷹よたか「ん?」
闘気の刃はマリーにヒットするも、しかし、マリーは平然とした様子だ
與鷹よたか(回避も防御もしない……)
そこまで與鷹よたかの拳を過小評価している……というわけでもない……
現に與鷹よたかの拳を喰らってマリーは後退しているのだ……
ならば、防御をすてて攻撃に特化しているというのか……
しかし、それにしては攻撃の手数が少なすぎる……
與鷹よたか「……まさか……」
ここで與鷹よたかは思い当たる……
悪戴音アクタイオンインダストリーはあらゆる存在へのパーミッションの変更を駆使して各種アンドロイド工廠からその秘密
を集めてキリングドールを造った……
だが、それは電子情報に限った話である……
與鷹よたか「かんな……」
そのままかんなの方を見ると、かんなもこくりと頷く

#2
……與鷹よたかはツェルツラが電子情報に限りあらゆる存在へのパーミッションを変更できるわけではないことを
知っている……
そして、現に悪戴音アクタイオンインダストリーには迫る侵入者に対し『侵入』の実行権を奪うことで自主的にスパイを断念
させている
そう、ツェルツラは人の持つ電子媒体以外の情報だってパーミッションの変更権限を駆使すれば入手できる……
それを知っているからこそ、與鷹よたかはこのマリーが自分の、双狼拳の全てを既に入手してしまったと勘違いして
しまったのだ……
與鷹よたか「だが、そうではなかった……」
マリー「????」
何が?と首を傾げるマリー
先ほどから、マリーが使った双狼拳はその前に一度與鷹よたかが見せたものだ……
與鷹よたかが双狼拳の使い手であると判断したのも、パーミッションの変更を駆使して與鷹よたかから情報を入手したから
ではない……どこからか入手した情報をただ述べただけなのだ
與鷹よたか(危うく完全回避技とか防御無視技とか使うところだったぜ……)
與鷹よたか「……行くぞ!」
俺についれこれるか?と與鷹よたか……対するマリーは愚問です……と與鷹よたかについてくる
與鷹よたか「はあああ!」
マリー「……」
そして、双狼拳を封じた拳打バトル勃発……

與鷹よたかは双狼拳がなくとも十分に強い……それは與鷹よたかが拳帝と呼ばれている由縁だ……
マリー「なかなかやりますが……しかし、この程度ですか……」
與鷹よたか「この程度かどうか……思い知ればいいさ……」
マリー「点駈てんく……」
ガッ
マリー「なっ?」
マリーが点駈狼てんくろうを放とうとした瞬間、その右手を掴まれる
與鷹よたか「……悪いな……お前が俺の見た技をそのままコピーしていると分かった以上……俺の癖は誰よりも俺が
 知っている……」
ズドンッ
そのままマリーを巴投げ
マリー「ぐぅ……」
與鷹よたか「確かに、お前のコピー能力は一級品だ……だが、俺の癖までコピーしてしまったのは間違いだったな……」
マリー「……」
大庭織田修一「なっ……馬鹿な……貴様、自分の癖すら見抜くというのか?」
驚きの声を上げるのは観戦気分の修一だ
與鷹よたか「……何を当然なことを……自分を知らなければ勝てる死合も勝てないだろうに……」
修一「くっ……ええい、ならば……」
與鷹よたか「だが、もう、遅いッ……終わりだ!神狼九断しんろうくだん!」
ガダダダダダダダダダッ
刹那の瞬間、マリーに9回の打撃……いかに疑似信念を持つとはいえ、本当の信念には敵わない……
マリー「あっ……」
與鷹よたかの渾身の一撃を9回も喰らい、マリーははるか後方へ吹き飛ばされてそのまま動かなくなる……
與鷹よたか「……ふぅ……こんなものか……」
かくて、與鷹よたか VS マリーの死合は終わる……


続

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