Eighter -Midnight Howling-
46ther 〜とある横道(アストレイ)禁漏(ロートフォビドゥン) A〜



#0
 ボルツァーマトム……それは場違いな白き遺物(ポジティヴ・オーパーツ)原子の冥王(アトミック・プルートゥ)を組み込んだシステムにしてドラゴンクロニクルの
コンセプトを受け継ぐもの。
 この原子の冥王(アトミック・プルートゥ)Λ(ラムダ)粒子という通信障害や物質を浮遊させる特殊な粒子フィールドを形成する代物。
 Λ(ラムダ)粒子を用いて物体を浮上させる力場を発生させる装置をΛ(ラムダ)クラフトといい、それが組み込まれているおかげで
重力に逆らった無茶苦茶な動きができる反面、浮力があるせいで打ち下ろしのインパクトは通常兵器より軽くなる
という弱点が明るみになった!
 まぁ、長々とボルツァーマトムの説明が続いたが、これを駆使して暴虐の限りを尽くさんとするのが、元自衛隊
海軍の鼻つまみ者集団、銀鯱(ぎんしゃち)の残党軍リキッドタイガーだ!
 そして今、リキッドタイガー壊滅に向けてEighterは動き出した。

#1
 青ヶ島近辺の海上、空母・りゅうのいぶきにて
畑中伽捨(きゃすてろ)「……狂蔵(くるうぞう)……」
 ヘッドホン片手に戦闘の一部始終を聞いていた伽捨(きゃすてろ)は死合が終わった(音がしなくなった)ことを確認し驚愕の
表情で狂蔵(くるうぞう)に呼びかける。
鴨川狂蔵(くるうぞう)「チッ、二人ともやられたってわけか……」
若狗葉磨(じゃっく・はま)「ど、どうするんだよ、狂蔵(くるうぞう)」
 この場にいるメンバーはリキッドタイガーの中核を成す大幹部ではあるが、狂蔵(くるうぞう)を除いて戦闘に秀でているメン
バーはいない。
狂蔵(くるうぞう)「俺が出るしかあるまいよ……」
粂原芽理沙(めりさ)「で、でも……」
狂蔵(くるうぞう)「奴らはかつて銀鯱(ぎんしゃち)を叩き潰した……」
 そうだろう?と念押し確認する狂蔵(くるうぞう)。あ、ああ、俺の耳は確かにそれを聞き逃さなかった!と伽捨(きゃすてろ)は答える。
狂蔵(くるうぞう)「ならば、是非もなしだ!」
 そうして、狂蔵(くるうぞう)は近くにおいてある核とバイオハザードのハザードシンボルが刻印されたアタッシュケースを開
ける。
狂蔵(くるうぞう)「万が一の際は……頼んだぞ?」
葉磨(はま)「わ、わかった……だが、万が一なんて起こらないことを祈るぜ」
狂蔵(くるうぞう)「同感だ……」

 一方その頃、甲板の上では……
梓與鷹(よたか)「総……次の敵が襲ってくる前にとっととのこの艦を制圧した方が」
(かみ)総介「そんなことは分かっている」
 だったら……と與鷹(よたか)が続けようとするが、だが、少し遅かった……と総介が返す。
白拍子かんな「次の相手が来ます」
 かんながぽつりと漏らすと、その場に狂蔵(くるうぞう)が現れる。
狂蔵(くるうぞう)「フッ」
與鷹(よたか)「な、何だありゃあ!?」
 與鷹(よたか)がそう思うのも無理はない。現れた狂蔵(くるうぞう)は宙を浮いていたからだ。
 それだけでもびっくりするのだが、それよりも、奴はまるで鳥をメカメカしい陣羽織にでもしたようなプロテク
トアーマーを身に着けていた。
狂蔵(くるうぞう)刳都(くるつ)魯蛇(ろじゃ)を斃すとはなかなかやるじゃねぇか」
 だが、俺は同じようにはいかんぞ!と豪語する狂蔵(くるうぞう)。

#2
総介「フン、だが、貴様を斃せばリキッドタイガーも瓦解する!」
與鷹(よたか)「何!?総、じゃこいつは……」
 あぁ、こいつがリキッドタイガーのトップ、鴨川狂蔵(くるうぞう)狂蔵(くるうぞう)「斃す!?この俺を!?……それは不可能だな!」
 ぶわっ
與鷹(よたか)「なっ、速ッ!?」
 全身鎧に類するプロテクトアーマーを身に着けているのに目にもとまらぬ速さで移動してみせる狂蔵(くるうぞう)。
 これもΛ(ラムダ)クラフトのなせる技か!?
狂蔵(くるうぞう)「俺のΛ(ラムダ)ドライブメイルは刳都(くるつ)魯蛇(ろじゃ)が使っていたΛ(ラムダ)クラフトシリーズとはワケが違う!」
 Λ(ラムダ)クラフトはただ物体を浮遊させるだけの装置だが、Λ(ラムダ)ドライブはそれを応用した推進装置!その推力は理論上
亜光速まで到達可能なゼルシフォム博士渾身の逸品よ!と続ける狂蔵(くるうぞう)だった。
※そう、Λ(ラムダ)ドライブとはラム〇ドライバではなく、ミノフ〇キードライブのパクリなのだ!(いや、パクリなんて
 いうなよ……)
狂蔵(くるうぞう)「死ねッ!」
 ギュオッ
 超加速と共に殴り込んでくる狂蔵(くるうぞう)。
 誰も反応できない……わけではない。ただ一人、狂蔵(くるうぞう)に反応できる人物が一人。そう、かんなだ!
 ガキンッ
狂蔵(くるうぞう)「ほぉ!?」
 神滅超越者(ラグナロクエクセル)狂蔵(くるうぞう)の拳を受け止める
狂蔵(くるうぞう)「面白い」
 ニィっと邪悪な笑みを浮かべる狂蔵(くるうぞう)。
白拍子かんな「あなたの相手は私がします」
 と、いうか、大将戦なのでこちらも切り札を切るのは当然である。
狂蔵(くるうぞう)「いいだろう。ならば貴様から先に殺す!」
 一旦距離をとると狂蔵(くるうぞう)。両手の手甲からカタールの如く刃を伸ばし戦闘準備を整えると、貴様に自衛隊海軍式超
絶格闘技を見せてくれるわ!とΛ(ラムダ)ドライブメイルによる高速移動からの左右連続斬撃。
※自衛隊海軍式というか、ボルツァーマトムを駆使した格闘術なんですが……
 ガガガガガガガガガガガッ
 だが、しかし、迫る凶刃全てをかんなは捌いて見せる。
 これは運の女神こと、かんなだからできる芸当だ。超高速機動からの連続斬撃も、運よく迫る位置を把握できる
からこそあらかじめそこへ刃を通せるのだ。
狂蔵(くるうぞう)「馬鹿な!?自分史上最速の攻撃をこうも容易く……貴様、何者だ!」
 驚愕に眼を剥く狂蔵(くるうぞう)
※ってか、自分史上最速て……
 最早勝負は見えた気がするが、この死合、どうなる!?


続

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