Eighter -Extra Voyage-
75ther 〜漏斗(ロウト)(ヒレ)を与えん〜



#0
 アントノワール。それはフランス語で『ファンネル』を意味する日本が開発したサイコミュ兵器である。
 そして、今回はそんなアントノワールの後日談みたいな感じのエレ・ギオン
※エ『レ・ギオン』じゃなく、エ『ピソード』……エストポリスシリーズ雷系最強魔法!?

#1
 天四斗(あまよと)、Eighter本部
福井冬利(ふゆとし)「頼む、また手を貸してくれ!」
 ある日、唐突に、再び彼はやってきた
梓與鷹(よたか)「アンタは確か……」
冬利(ふゆとし)「アントノワールが……」
百鬼あろえ「またですか!?」
 よく盗まれますね……警備体制を見直した方がいいのでは?なんて突っ込んでみるあろえ。
 さておき、今度はどこですか?中国?アメリカ、ロシア?それともドイツですか?なんて問いかけてみる。
冬利(ふゆとし)「今回の相手は国じゃないんだ……」
與鷹(よたか)「だったらなおさらのこと、そちらの方で何とかできるのでは?」
冬利(ふゆとし)「いや、ですが……まずは話を聞いてくれ」
 そこまで言われれば、聞いてみるのも一興
※いや、一興じゃねえから!
冬利(ふゆとし)「今回私の研究データを持ち去っていったのは……」
 そして、彼は語る。
 バニーガールのコスプレの上に白衣、更にどこからどう見ても首輪としか思えないチョーカーという謎の恰好を
した女を連れまわす漢がやってきて、アントノワールに大変興味を示し、そして、一瞬の隙をついて研究データを
持ち去っていったのだという。
冬利(ふゆとし)「断っておくが、バニーガールの姿に目を奪われていた隙に盗まれた……なんてことは断じてないからな!」
※誰もそんなことは聞いてないし。それを言うと、そのせいで盗まれたんだなって思われるよ。
與鷹(よたか)「ちょ、ちょっと待って……」
 そんなオカしな恰好の女性を連れまわす人物を與鷹(よたか)は不本意ながら知っていた。
 自称天才発明家たる西塚秋晴(しゅうせい)。そして、彼の助手の嘘言(うそいえ)うさぎである。
冬利(ふゆとし)「私はあのようなヘンテコな人種とは関わりあいたくないんだ。そこでアンタらに依頼をしにきた」
一同「マテコラ!」
 無茶苦茶な理由による依頼だった。
冬利(ふゆとし)「どうか、盗まれたアントノワールの研究データを取り戻してほしいのです」
 土下座しそうな勢いで冬利(ふゆとし)は頼み込む。

#2
與鷹(よたか)「いや、誰も依頼を受けないとは言っていないのだが……」
冬利(ふゆとし)「ではッ!」
 態度の豹變早くない?
 なんて思っていたその時、新たなる客の登場である。
西塚秋晴(しゅうせい)「邪魔するせ!」
冬利(ふゆとし)「なっ、貴様はッ!」
 それは冬利(ふゆとし)が探し求めていた仇敵、西塚秋晴(しゅうせい)だった。
秋晴(しゅうせい)「おお、こんなところで遭うとは僥倖だ!」
冬利(ふゆとし)「それはこっちのセリフよ!とっとと盗んだ研究データを返してもらおうか!」
秋晴(しゅうせい)「盗んだ?……うちの助手が頼んだら快く譲ってくれたような気がするのだが……」
冬利(ふゆとし)「だっ、黙れ!あのような色仕か……もとい、脅しで研究データを盗むとはなんという」
一同「……」
 なんかもう、冬利(ふゆとし)も悪いんじゃねぇかって気がしてくる一行だった
あろえ「ええと、それで……」
 さておき、どうして秋晴(しゅうせい)がここへやってきたのか……
 答えは何となくわかる。またトンでもない発明を見せびらかしに来たのだろう……
秋晴(しゅうせい)「アンタの作ったアントノワールを改良して作ったのがあの、エルエット・アントノワールだ!」
 Eighter本部の外には嘘言(うそいえ)うさぎが待機しており、彼女は何なら板みたいなナニカを抱えていた。
一同「エルエット・アントノワール!?」
 ここで君たちに最新情報をお伝えしよう。エルエット(ailette)とはフランス語でfinを意味する。ただし、コ
レは終了の意味ではない。(ヒレ)の意味である。
 アントノワールがフランス語で『ファンネル』だったことに対し、エルエット・アントノワールとはフランス語
で『フィン・ファンネル』を意味するのだ!
 つまり、秋晴(しゅうせい)はアントノワールを改良してそれを見せびらかしにやってきたというわけなのだ。
※次はアントノワールをミサイルに組み込んだものを発明しそうだな……
秋晴(しゅうせい)「百聞は一見に如かず!動かしてみ給え!」
嘘言(うそいえ)うさぎ「では、行きます……」
 ガシャッ
 板状のモノがコの字に折れ曲がりつつ、宙を舞う。
 それはどこからどう見てもフィン・ファンネルそのものだった。
冬利(ふゆとし)「こ、これは……正しく、アントノワールの発展改良型……お、お前……」
秋晴(しゅうせい)「フフフ、凄かろう?」
 あ、そこは『怖かろう?』じゃないんだ……なんてどうでもいいことを考えるあろえであった。

#3
うさぎ「そして、こんなことも……」
 バシャッ
 コの字型だったエルエット・アントノワールがつながったハの字型に開くとテトラポッドを形作る感じの位置に
配備され、バリアみたいなものを作り出す。
※ガチでフィン・ファンネルだコレ……
秋晴(しゅうせい)「どうだ!こんなものを作ってしまう才能……それは正に畏怖とも呼べるだろう!」
一同「いや、寧ろ、あそこまで自在に操れる彼女の方が凄いと思うが……」
秋晴(しゅうせい)「ナヌぅ!?」
 第一、エルエット・アントノワールは秋晴(しゅうせい)が一から作り上げたものじゃないし。そこまで凄いとは思えないので
すが……
冬利(ふゆとし)「なぁ、アンタ。その……エルエット・アントノワールの研究データを全て私に譲ってくれないか?」
 もはや取り戻すことよりも改良されたエルエット・アントノワールを手に入れたい欲にかられる冬利(ふゆとし)であった。
秋晴(しゅうせい)「譲るなどと……」
 話にならないなと首を左右に振る秋晴(しゅうせい)
秋晴(しゅうせい)「だが、共同開発ということならば手を打ってやらんこともない」
冬利(ふゆとし)「是非それで!」
 即決だった。
冬利(ふゆとし)「と、いうわけで解決したから依頼もキャンセルでよろしく」
一同「え〜〜……」
 こうしてすっかり意気投合していしまった三人はそのままEighter本部を後にするのであった。


END

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