Eighter -Extra Voyage-
45ther ~世紀の迷珍発明? B~
#3
ある日、Eighter本部にやって来たのは自称『天才発明家』西塚秋晴……彼は自分の発明したものに特許が下り
ないことにハラを立てて、Eighterになんとか復讐を依頼しにきたのだが、いかんせん、その発明品というのが役
に立たない代物ばかりで……
一同「ってか黒を表現する場合はLEDを点けなけりゃいいでしょうに!!」
西塚秋晴「フッ……何を言う……あえて黒色LEDを使って闇を表現する……いわばこれはセレブの嗜み」
梓與鷹「いや、今の時代はエコなんで……そんな無駄な電力を割くような代物は……」
秋晴「はぁ……まったく、時代はエゴロジー……つまり、自分を中心にエコを考える時代だというのに」
一同「エゴイズム+エコロジーでエゴロジーなんておかしいから!」
やれやれと言った手振りで話す秋晴に一行は思わず突っ込む
雨水朧(……私、ちょっと雀荘に行ってきていいかな……今なら素人相手に荒稼ぎできる!)
與鷹(頼むからやめてくれ!)
與鷹と朧がそんなやりとりを行っていると、更に秋晴は話を続ける……
秋晴「ならば、次、発明No.10002、LED蛍光灯」
どど~~んとトランクの中から明らかにトランクのサイズを超えた蛍光灯の形をしたLEDを取り出す
與鷹(一体いくつ作ったんだ?あいつ?)
※いや、疑問に思うのはそこではないなずだ……と突っ込まないこと
一同「はい!?」
その、明らかにLEDを蛍光灯のような大きさにしたとしか思えないような代物を前に、一同ぽかんとする
百鬼あろえ「……あの……これって……」
秋晴「LEDはそもそも電気エネルギーを最もムダ無く光に変える物質だ……だから、それを蛍光灯にすれば遥かに
省エネできるうえ、切れることもごく僅かである」
與鷹「……いや、まぁ、確かにそうですけど……」
そして、LEDの優れているところはそれだけではなく、日中……太陽光の下でも光っていると分かる点。
だからこそ、横断歩道の信号などは発熱電球からLED式のものに変わってきているのである。
一同「ただ単にLEDをデカくしただけじゃん……」
秋晴「……ハッ、これだから凡人は……この私が何の考えもなくただLEDをでかくしたと思ったか!?」
與鷹「……と、言うことは……まさか……」
秋晴「そう、今まで誰もこんなサイズのLEDを創ったことがない……ならばこれはちょっとしたギネスものになる
のではないか……という考えの元創ったのだ!」
一同「あ……そう……」
要するに、何も考えずに創っただけであったのだ……
あろえ「……ってことは……100Vの電圧に耐えられるようなコンバーターとかは別についていない……と……」
#4
秋晴「……」
いかに滅多に切れることのないLEDとはいえ、規格外の電流を流せばたちどころに吹っ飛ぶ。それが分からない
わけでもあるまいに……
一同(考えていなかったのね……この人……)
あろえ(ねぇ、リーダー……この人って……もしかして……)
朧(ユーズレスラボの研究員か何かだったんじゃありません!?)
與鷹(……あ~~、何かありえそうで怖い……)
秋晴「さて、では時間が惜しいので進めるぞ!」
そして、さらに一向を無視して話を進める秋晴
與鷹「いや、あの、すみませんが、これ以上は……」
秋晴「何を言う!?まだこんなもの全体の1‰にすぎませんぞ」
あろえ「パーミルって……あと1000個近くあるんですか!?」
秋晴「ンなわけなかろう……ニュアンス的に‰を使っただけで意味は知らん!」
一同「あのな……」
呆れかえる一行……言葉の意味を考えて発言してくれ……と心の中で盛大に突っ込む
秋晴「発明No.13256……AED付きLED!!」
一同「……はい!?」
AEDのケースの回りに無数のLEDが配置されている。
秋晴「フッフッフ、こいつはすぐれものですぞ……LEDとAEDを間違えて持って来ちゃった人も、このAED付きLEDな
らば間違えることもない!!」
一同「誰もンなふざけた間違いは起こさんわぁ!!!」
朧「ってかそれ、どう見ても『AED付きLED』じゃなく、『LED付きAED』でしょうが!!」
メインはAEDであってLEDではない……と朧の的確な指摘。
秋晴「確かにこれのことを『LED付きAED』と言うヤツもいる……だが、この発明品の名前は『AED付きLED』だ!」
某ロマサガ3、ハ○○ド篇の序盤の台詞のように力強く叫ぶ秋晴
一同「……」
呆れ果てる一行……
秋晴「と、いうわけで……まだまだ紹介したい発明品もあるが、産業スパイがいるとも限らんからなぁ……ここい
らで依頼の話に移るが……」
一同「帰ってください!!」
もはや付き合っていられない……流石に帰ってもらうことにする一行であった……
秋晴「貴様ら……この偉大なる私の発明品を……侮辱するかぁ!!」
Eighter本部を追いだされ……それでも、まだ叫び続ける秋晴……
……ちなみに、西塚秋晴……彼のバカげた発明は……やっぱり世に出ることはなかった。
※でも、紹介されなかった大量のガラクタの中にはトンでもない発明品やらオーパーツを使った逸品があったかも
……しれない……(をい……)
END
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