#3
　無駄に凄い防犯設備で固めた邸宅……『防犯御殿』……誰も好き好んでそんな場所に入らないって言うのにさら
なる防犯のため日々無駄に考えを廻らすは櫻屠魔太(おうと・まあた)……
櫻屠芽衣留(おうと・めいる)「えっと、指紋照合、カードキー、虹彩照合にパスワード」
　ピッポッパッポッ
＊「確認しました。どうぞ中へお入りください」
芽衣留(めいる)「はぁ……ただいま……って誰もいないのよねぇ……」
　と、彼女が家の中にはると……
＊「お帰りなさいませ」
　ぺこりと頭を下げる見知らぬ女性
芽衣留(めいる)「なななぁあ！！！？」
櫻屠魔太(おうと・まあた)「どうした！？芽衣留(めいる)！？」
　そして続いてやってくる夫
芽衣留(めいる)「だだだ……誰よこの女性(ひと)ぉおお！？」
　家族3人以外誰もいないはずの家に、突如謎のメイドさん……驚くのも無理はない。
魔太(まあた)「留守を預かってくれるメイドだが……」
　サラっと言う魔太(まあた)
芽衣留(めいる)「メイドって……あなたは……あなたって言う人はあああ！！！」
　バッ
　玄関先に常備されている木刀を手に取る芽衣留(めいる)
芽衣留(めいる)「……愛妻夜伽術(あいさいよとぎじゅつ)、奥義、火剣禽殺刃(ほけんきんさつじん)」
　ドスッ
　バキッ
　ベキッ
　そのまま木刀で殴りだす芽衣留(めいる)。これで夫に保険金がかかっていれば本当に保険金殺人だ……
魔太(まあた)「へごええあああ！？」
芽衣留(めいる)「なんで私のメイド服を着ているのよぉおおお！！！！」
　ゴスゴスゴスゴス……
魔太(まあた)「ままま……待て待て……」
　『奥さんのメイド服』ってことは、つまり、過去にそういうプレイをやったと……いや、余計なことは想像しな
いほうがいいですね……
櫻屠鹿玖(おうと・ろっく)「何……やってんの？オヤジと……オフクロ……と……」
　見知らぬメイドさん……
鹿玖(ろっく)「……誰！？」
＊「あの〜〜〜」
芽衣留(めいる)「ああ？今、取り込んでいるのよ！後にしてくれる……」
＊「……私一応、こういうものなんですが……」
　ささっ
　そのまま彼女は、懐から警察手帳を取り出し、一行に見せる
一同「……富山県警、刑事……聖尾雀濡(せお・しゃぬ)……」
　カランッ
　相手が警官ということもあり、持っていた木刀を床に落とす芽衣留(めいる)
魔太(まあた)「だからだなぁ……留守の間に忍び込んだ賊を逮捕してもらうべく婦警を雇ったと言おうとした矢先にこの騒
ぎだ……」
芽衣留(めいる)「当たり前です！あなた……だいたいどう見ても女子高生にしか見えないじゃないですか！」
魔太(まあた)「当たり前だろ！メイドというのは10代と相場が決まっているんだ！！」
芽衣留(めいる)「……じゃ、10代を超えたら……？」
魔太(まあた)「家政婦さん！」
　恐る恐る聞いてみると……そんな答えが返ってくる……

#4
鹿玖(ろっく)「なぁなぁ、オヤジ、コイツ俺の部屋においてもいい？」
芽衣留(めいる)「……あのね……」
　そして、そんな中イキナリ問題発言をする息子……
聖尾雀濡(せお・しゃぬ)「……いいですが……もし私に手を出したら強姦罪で即刻逮捕します！」
　カチャリッ
　手錠を見せびらかす
鹿玖(ろっく)「そ〜〜りゃないぜ〜〜〜とっつぁ〜〜〜ん」
※ルパンかおのれは！？
芽衣留(めいる)「と、言うか、食事の材料は3人分しかないわよ」
雀濡(しゃぬ)「おかまいなく、どうにかしますから……」
　うるうるしながらぐっと我慢する雀濡(しゃぬ)
芽衣留(めいる)「分かった！分かった……買ってくるから！たった1人分くらい……」
　と、言うわけでもう1人分食材を買いに行く芽衣留(めいる)さん……

芽衣留(めいる)「はぁ……何でまたこんな事になるのよ……」
魔太(まあた)「まぁまぁ、炊事に洗濯、防犯などなんでもやってくれてたったの時給3000円だぞ」
※たったの時給3000円って……8時間働けば2.4万すか！？
芽衣留(めいる)「なっ……あなた一体いくらつぎ込むつもりなんですか！！？」
魔太(まあた)「なっ！？そんなに驚くことか！？」
芽衣留(めいる)「驚きます！！大体、どこからそんなお金が出てくると言うんですか！？」
魔太(まあた)「俺の給料から、ちょこっとな……」
芽衣留(めいる)（はぁ……なんで私こんな人と結婚したのかしら……？）
※永遠の謎です。
　そして……その夜
雀濡(しゃぬ)「ん〜〜ふふ……」
　地下室に忍び寄る雀濡(しゃぬ)……
雀濡(しゃぬ)（これだけ厳重な警備だと外側からの侵入は無理だけど、内側から外へ出るのは簡単なのよね〜〜）
　カタカタカタカタッ
　ノーパソのキーボードをたたく雀濡(しゃぬ)……そう魔太(まあた)はトンでもない勘違いをしていたのだ……雇ったのは婦警では
なく……怪盗だったのだ！
雀濡(しゃぬ)「うふふふ……ではさようなら〜〜〜」

　翌日……
魔太(まあた)「盗……まれ……たあああ！！！？」
　『いただきました〜〜♪　ではさようなら』のカードと共に財産の殆どがごっそりねこそぎ……
芽衣留(めいる)「あ〜〜〜なぁ〜〜〜たぁ〜〜〜〜！！愛妻夜伽術(あいさいよとぎじゅつ)、奥義、鳴多離痕(なりたりこん)！！！」
　鬼の形相で木刀を持った奥さん……
　ドゴスッ
　バガスッ
魔太(まあた)「へぎゃああ！！？」
　今回の教訓……無駄に防犯に力を入れると内部で崩壊する……（本当かよ！？）
魔太(まあた)「こ、今度はアンドロイドを……ほら、よく言うじゃないか？ロボットで警官は作れても、泥棒は作れないだ
ろうって……」
　……しかし、それでも、彼の防犯改造は続く……
芽衣留(めいる)「もう、好きにして〜〜〜！！」


END