Eighter -Chaos Desorder-
11ther 〜九星は闇にかがやきて B〜



#3
天四斗あまよと、星降る稜郭
水野きゆみ「ようこそ、九星団へ……」
Eighter一行が九星団アジトへ出向くと……丁重なお迎えが……
きゆみ「とりあえず、自己紹介をさせてもらうわ……私は水野きゆみ……」
自己紹介すると言いながら名前しか言わず、双剣を抜刀するきゆみ
きゆみ「でもって、使用流派は誘濤いざなみ双剣流……」
枳篤からたち・あつし誘濤いざなみ……双剣流!?」
きゆみ「そ、誘濤いざなみ双剣流……見たところ、貴方も双剣使いのようだけど……並の双剣術じゃ私の誘濤いざなみ双剣流は
 破れないわよ……」
あつし「……」
ズララッ
あつし、双剣抜刀……
あつし「だったら、尚更のこと、引き下がることはできないな……リーダー……一番手は俺が貰う」
梓與鷹よたか「……ああ……あつしに任せる……」
きゆみ「……聞いてなかったの!?並の双剣術じゃあ……私には届かないッ!」
ダンッ
一足飛びにかかるきゆみ
きゆみ「ハッ!双龍交差そうりゅうこうさ!!」
ゴヒュッ
そして、そのまま2つの剣を持ってして十文字に斬りかかる
あつし「ハッ!」
スカッ
きゆみ「なっ!?」
だが、物の見事に回避される
きゆみ「やるわね……だけど……さっきのは単なる小手調べに過ぎないのよ!」
ギャッ
すぐさま体勢を立て直し、そのままあつしに襲いかかる
きゆみ「殺ったッ!双龍交差そうりゅうこうさ!」
あつし「甘いッ!神風十文字かみかぜじゅうもんじ」
ゴギュアッ
十字の真空波が十文字斬りを掻き消し、そのままきゆみを弾き飛ばす
きゆみ「ぐっ!?」
ザガガガガッ
弾き飛ばされつつも、体勢を立て直すきゆみ……
きゆみ「そんな……馬鹿な!?今のは!!?」
あつし「……誘薙いざなぎ双剣流……お前の使う誘濤いざなみ双剣流に対をなす剣術だ……」
きゆみ「……そう……そういうこと……」
チャッ
刀を構え直し、気を引き締めるきゆみ
きゆみ「……誘薙いざなぎ双剣流と誘濤いざなみ双剣流は表裏一体……いいわ、だったらここで本当はどっちが上の流派なのか
 ……分からせてあげる!!」
あつし「ふん……幻影飛刃げんえいひじん!」
ゴアッ
言葉が終わらぬうちに、一気に間合いを詰めて斬りかかるあつし……
きゆみ「甘いのよっ!虎牙絶天こがぜってん!」
ゴドガガガッガッ
カウンターとして、刺突と斬撃を繰り出すきゆみ……きゆみの双剣が……あつしを貫き刻んだかと思えたが……
ふおっ
きゆみ「なっ!?幻影!!?」
それはあつしの幻……
チキッ
きゆみ「うっ!?」
そして、気がつけば背後にあつし……刃を突き付ける

#4
あつし誘濤いざなみも地に落ちたもんだな……」
すっと刃を引くあつし
バッザザッ
すぐさま後ろを振り向き、殺気を飛ばしつつ距離を置いて対峙するきゆみ
きゆみ(くっ……ウソよ……こんなこと……ありえないわ……だって……私とアイツの使う流派は……)
あつし誘濤いざなみ誘薙いざなぎとは互角……だから勝負も最期まで行方が分からなくなる……とでも言いたそうだな」
きゆみ「当然じゃないの!この2つは陰と陽の関係にあるのよ!そのどちらか一方が強いなんてありえないわ!」
與鷹よたか(……いや、それは両者の実力が互角だった場合に限られる……)
つまり、きゆみは流派が互角ならば使い手の如何によらず死合も互角だと思い込んでいる……なんて勝手な……
そんな都合のいい話など聞いたことがない……
與鷹よたか(まぁ、対をなす流派……だけに限らず同じような術を使う場合全てにこれは当てはまるとは思うが
 ……自分の力を知り……そして、相手の力も知らないと……勝てる死合も勝てないんだがな……)
きゆみは経験が足りないのか……と敵ながらちょっと心配してみる與鷹よたか……
パチリ
あつし「……」
パチリッ
一同「なっ!?」
死合のさなかだと言うのに、突如納刀するあつし……
きゆみ「バッカじゃないの!何を考えてるの!?アンタ!?」
あつし「……ハッキリ言う……お前は修行が足りない……だから、俺に刃は届かない……」
きゆみ「何を!?」
あつし「……いや、仮に俺と同等の剣術レベルであったとしても……お前には1つ決定的に欠けているものが
 あるから……俺には勝てんぞ!」
きゆみ「傲慢は身を滅ぼすわよ……」
そこまで言われて、ワナワナと……身を震わすきゆみ
きゆみ「あまり調子に乗らないことねッ!!……いいわ、だったら、そのまま死になさいッ!真空冷襲吼しんくれいしゅうこう!」
キュコオッ
怒りに任せて冷気の真空波をあつしに飛ばすきゆみ
あつし「だから、無駄だ!」
シャッ
ドガアアッ
きゆみ「なっ!!?」
真空波に対して蹴りを繰り出すあつし……足が斬られるどころか、真空波が掻き消える
きゆみ「嘘よ!?そんな……」
愕然とするきゆみ……
あつし「だから、言っただろう……お前には決定的に欠けているものがある」
ヒュオッ
そして、すぐさま間合いを詰めるあつし
あつし「だから、俺には絶対に勝てん!」
きゆみ「うっ!?」
気付いた時には眼前にあつし、咄嗟に退こうとするも、時すでに遅し
あつし「終わりだ!覇気鬼刃はききじん!」
ゴギュガガガガガッ
抜刀、と同時に技を繰り出すあつし、無数のオーラの刃がきゆみを撫で、そのまま吹き飛ばす
ドゴオオンッ
きゆみ「ぐ……がっ!!?」
ズルズルズル……
あつし「……先に進ませてもらうぜ……」
きゆみ「……うふふ……ここから先は貴方たちにとって地獄の道となるわよ……うふふ……そうよ……
 たとえ、貴方たちがどれだけ強かろうとも、萌とかなえには敵わないのよ!!うふふふ……」
それだけ言い残して、ガクリと頽れるきゆみ
與鷹よたか張原はるはら……?)
そして、一行は先を目指す……さて、この先はきゆみの言うとおり地獄への一本道なのか……それとも……


続

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