Eighter -Blindness Wizard-
19ther 〜騒乱戯画京都大火 C〜



#5
 Eighter VS シレントワイザード、勝った方がシード枠のルキと死合える?!
 果たして七罪塔(しちざいとう)が《自尊(プライド)》ルシュファーと死合えるのはどっちだ!?
フキエル(チッ、こいつ、手強い……)
ナナ(敵ながらあっぱれであります)
 魔術師として覚醒し、思わぬ力を手に入れたことで舞い上がっていると思い、そんな馬鹿には現実を見せてやろ
うと考えていたフキエルだったが、與鷹(よたか)は全然そんなことはなく、攻めあぐねていた。
フキエル(そして、何よりも厄介なのは……)
 我が元に帰れ(ヴォレーゲン)ではなく真書須らく翻れ(ウバゼッツァー)……
 アレから戻ってロズエリク様には報告しつつ、ちょろっと試してみたが、ロズエリクは愚か、呪装四天王の誰一
人もが真書須らく翻れ(ウバゼッツァー)を使うことはできなかった。
※なお、大導師(グランドマスター)真書須らく翻れ(ウバゼッツァー)が使えるのかどうか不明です……
フキエル(仕方ない……ここは一気に攻める!)
ナナ(勿論、了解であります!)
 以心伝心……まぁ、ナナを身に纏っているような状態なので以心伝心じゃなかったら逆におかしいんですけどね
……
梓與鷹(よたか)「む?!」
 フキエルの様子が変わったことに、一瞬身構える與鷹(よたか)
フキエル「一気に行くぞ!」
 そう言ってエランドラと同じように左手にも魔形刀(マナヒョンド)を手にするフキエル
フキエル「無限の知識を蓄えし昴なる流水の魔星、その御力、我が剣となりてここに顕現せよ、セラエノ!」
 左右に流れる水の刃を持ち、一足飛びにかかるフキエル
フキエル「砕け散れ!圧し潰す水塊(ヴァッサァ・ザックライナン)!」
 ズパァ〜〜ンッ
 巨大な水の塊を二つ、與鷹(よたか)に打ち出す
與鷹(よたか)「オオオッ!神狼九断(しんろうくだん)翳噛(えいごう)!」
 ガドドドドドドドドドッ
 ガドドドドドドドドドッ
 刹那の瞬間に九回の拳打、プラス、影の拳が九連打。
フキエル「んなッ?!」
 フキエルが驚いたのは與鷹(よたか)の拳打の嵐を見てではない。
 こちらが二刀流で一気に勝負を決めようと思っていたら、そもそも、與鷹(よたか)は最初から両拳を駆使して死合ってい
たことにである。
 ってか、そんなもの、一目見ればわかりそうなものなのだが……やはり、戦闘バカということか……
與鷹(よたか)「ハッ!冥狼舞吼(めいろうぶこう)殺凪(せつな)!」
 カカッ
 ドカドカドカドカッ
 十八連の拳で水塊を打ち破った與鷹(よたか)はそのまま追撃の手を緩めない。白い閃光を纏った拳で殴りつけ、フキエル
の視界を奪った後、拳打の嵐を叩き込む。
フキエル「ぐはぁっ!?」
 さしものフキエル視界を奪われては防御も反撃もままならず、與鷹(よたか)の拳打の前に沈むのであった。

#6
 一方、かんなとエランドラは……
エランドラ(セラ、分かっているな?)
セラ(準備は出来ています)
 相変わらず力に物を言わせて攻め立てるエランドラ
白拍子かんな「……」
 そんな暴力的な斬撃にも顔色一つ変えずに涼し気な顔で受け流していくかんな。
エランドラ「面白れぇッ!」
 こんなに楽しい死合はない!といわんばかりに満面の笑みを浮かべながら左右の魔形刀(マナヒョンド)でかんなに襲い掛かるエ
ランドラであった。
 フキエル VS 與鷹(よたか)との死合とは逆にかんなが攻めあぐねている……というわけではない。
 かんなは待っているのだ、千載一遇のチャンスを!
 エランドラを倒した後に待ち構える七罪塔(しちざいとう)との死合こそが本当の戦い。だからこそ、なるべく体力を温存しつつ
エランドラを倒せるその一瞬を待っているのだ。
エランドラ「揺らぐ炎の羽撃(フランメ・フラッテルン)!」
かんな「鳳鸞舞刃(ほうらんぶじん)!」
 ズドゴガアアッ
 二つの緑の炎の渦を平安を(もたら)す鳳凰で圧し返す。
エランドラ「ハッハッハッ!ハァ〜〜ッハッハッハッ!」
かんな「そんな風に笑っていられるのも、今の内だけですよ?」
 だが、そんなかんなの声も、最早届いていないのかもしれない……
 ガドガドガドガドガドッ

 そして、遂にその時は来る
エランドラ「ハァ〜〜ッハッハッハッ……ハァ、ハァ……ハハッハハハッ……ハァ、ハァ……」
 無尽蔵の体力を持つかに思われた戦闘馬鹿たるエランドラが息切れし始めた。
 バカは体力の使い方が間違っている……と、言うのもあるが、最大の原因は左右の魔形刀(マナヒョンド)にある。
 力が倍になればそれだけ死合も有利に運ぶ……なんて世の中そんな甘い話はない。力が倍になるということは消
費される魔力もまた倍になるということだ。
 先ほど、フキエルと與鷹(よたか)の死合の際、フキエルが勝負を急いだのも、魔形刀(マナヒョンド)を二本使い、通常の倍の魔力消費に
倒れる前に與鷹(よたか)を斃したかったためである。
かんな「そろそろ終幕です」
エランドラ「いや、まだだ!俺はまだ十年は戦える!」
 お前はどこのジ〇ンだよ!
 さておき、最後の力を振り絞り、エランドラは勝負に出る。
かんな「いいえ、もうおしまいです」
エランドラ「何ぃ!?」
 エランドラが左右の魔形刀(マナヒョンド)を最上段に構え、一気に打ち下ろそうとしたその瞬間、かんなの姿が目の前から忽然
と消え、背後から声が聞こえる。
セラ(準備はできています)
 セラのその声には『敗北を受け入れる』が抜けていた。
かんな「龍咬舞刃(りゅうこうぶじん)!」
 キィンッ
 斬閃!と同時に応龍(おうりゅう)に変幻する光の龍がエランドラを天叩く打ち上げ、そのまま地面にたたきつける。

#7
(かみ)総介「フッ、勝負あったな!」
 今回は珍しく何もしてなかった総介がそう呟く。
ルシュファー「そうみたいだねぇ……やはり、《キツネザルの使徒》が我らに立ちはだかるか……」
 死合を楽しく観戦していたルキが、ついに動く。
ルシュファー「いいよ、約束通りに相手をしてあげるわ!祝福無き強いる義務(ノーブレス・オブリージュ)!」
 そのまま両手を天高く掲げると、空間が歪んで槍が出現する。
かんな「……」
 連戦になるが、問題はない。先ほど述べた通り、かんなは体力を十分に温存している。神滅超越者(ラグナロクエクセル)をルキに突き
つけながら睨みを利かせるかんな。
ルシュファー「ふふん……」
 一触即発……と、その時、突如死合を阻止する謎の声
*「残念ながら、遊んでいる時間は無いんだよ」
一同「何?!」
 シュタっとかんなとルキの間に突如降り立つ少女は……やはり、人間ではなかった。
 つまり、それは場違いな黒き遺物、上位存在、七罪塔(しちざいとう)が一人。《憤怒(ラース)》のシャイターン。
ルシュファー「サタン……」
総介「逃がすか!」
シャイターン「残念だけど、また次の機会をお待ちください!」
 総介が叫ぶと同時にかんなが一足飛びにかかる。
 だが、しかし、一歩遅かった……ルキはサタンと共に姿を消し、後には抜け殻となった偶森蒼(ぐうもり・あおい)だけが残された。
 かくてアニメに革命を起こさんとした五人の少女はアニメにテロを起こして散っていき、令和の京都大火は幕を
閉じたのであった。


END

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