#3
　東京都の某2か所で起きた『間違った局地地震』……そのうち一方の震源地は1階リビングで、もう一方は2階の
一室だと言う……
　……はたして、この謎の事件の真相は……！？
　東京都、歯頓(ばあとん)宅
山咲(やまざき)桜「警部……」
上(かみ)総介「何かわかったか？」
桜「はい」
　リビング跡地にあったと思しきデスクトップの残骸を指差し桜が言う。
総介「やはりな……」
　この二つの事件、繋がっている！総介はそう確信した。
　だが、残念なことにどちらの廃墟から見つかったパソコンは破壊がひどく、データのサルベージは絶望的だと思
われた。
　だが、通常ならばお手上げなのだが、総介、桜は違った。
　総介にはOCTUという心強いガジェットツールがある。
※いや、ガジェットツールって、勇〇王じゃないんだから……
　OCTUがあれば物理的にハードディスクが壊れていても、データをサルベージすることが可能なのだ。
　それはOCTUが現代科学では考えられないような高度な技術を駆使して作られたオーパーツであるからこそできる
芸当なのである。
　まぁ、実際には物理的に壊れたハードディスクにアクセスして情報を引き出すのではなく、あらゆる情報は最終
的に歴史の墓場と呼ばれるこの世界とは別の世界にある場所に集約されるのであって、そこから必要な情報を拾い
上げているだけなのだが……
　なお、桜は桜でOCTUを使わなくとも同じことが出来るとのことですが、今回の物語とは何の関係もないので詳細
は割愛します。いつか説明される日が来るといいね。
　さておき、解析の結果分かったことといえば……
桜「双方とも、あるサイトを見て、そこに紹介されているあるモノを作ろうとしていたようです」
総介「……やはりか……聞き込みの結果などを踏まえるとこの両者はライバルというか、お互い、お互いを潰し合
おうと躍起になっていた……ことが判明しているからな……」
　このサイトにあるモノを見て、お互い、これを使って相手を……と思ったのは無理なからぬ話だろうな、と総介
は推理する
警官「上(かみ)警部！！同じサイトを見ていたって……それは……どういう！？」
　と、そこへ、ゾロゾロと警官一行がやってくる。
　一体何をしにここへやって来たというのか？それは謎に包まれております。
※いや、謎に包まれていちゃダメだろ……
　まぁ、とりあえず、追い返すのも何なので、無視して話を進めることにする総介なのであった。
※いや、それはそれえ酷くない？……まぁ、気持ちは分からんでもないがな……

#4
警官「で、上(かみ)警部……彼らは一体何の際とを見て、何を作ろうとしていたというんですか？」
総介「……」
　ギロリという擬音が似合う総介の睨み付けに、ヒィっとビビッて後退る警官一行。
総介「まぁ、いい……まず、二人が見ていたというサイトはコレだ！」
　奇跡的としか言いようがないが、歯頓(ばあとん)宅の壊れたデスクトップパソコンのディスプレイはほぼ無傷だった。
　そこで総介はOCTUで得た情報をそのディスプレイに映し出して見せたのだ。
一同「これは……點才馬区段間(てんさいば・くだんま)の個人サイト？！」
　點才馬区段間(てんさいば・くだんま)……それは爆弾テロリストとしてあまりにも有名な人物だ。彼は真空中では音が使わらないという
ことを利用して爆弾の消音機(サイレンサー)を発明、一躍有名となった。
総介「そして、奴のもう一つの最高傑作、それが火薬を一切使わない全く新しい爆弾……歪曲破壊爆弾！」
一同「歪曲……破壊、爆弾！？」
　歪曲破壊爆弾、それは読んで字の如く、物質や空間などを歪ませ、その歪みを一気に炸裂させることで対象を破
砕する驚天動地の代物だ！
桜「そして、消音機(サイレンサー)付爆案と歪曲破壊爆弾を組み合わせた究極の一品……それが消音機(サイレンサー)付歪曲破壊爆弾です」
　火薬を一切使わず、爆音も一切発生しない。巻き起こるのはただ、爆発の衝撃のみ……それは、地震だといわれ
ても納得してしまうような代物だ。
　そう、この間違った局所地震は消音機(サイレンサー)付歪曲破壊爆弾による静かな爆発だったのだ！
警官「上(かみ)警部……ってことはですよ……この事件は双方がその爆弾を作り、そして、送りつけ、殺した……と、そ
ういうことですか！？」
桜「いえ、違います」
一同「あるぇ！？」
　核心に近づいた……と思ったのに桜に即時に否定される警官……
総介「……双方とも、製作途中に自滅したんだ……」
一同「な、なんだってぇ！？」
　必ず相手をブチ殺す！という二人の常軌を逸した執念が、常人には制作不可能なはずの消音機(サイレンサー)付歪曲破壊爆弾を
作り上げるまでに到ったのだ！
　だが、悲しいかな、所詮は素人……肝心なところでミスって自滅……いや、自爆したのだ。
警官「上(かみ)警部！直ちにこの個人サイトを抹殺すべきでは？」
総介「フン……我らにそこまでの権限はないッ！」
一同「な、何でですか！？」
桜「ここにあるのは解析不可能な文章で常人が理解して作り上げるのは無理のあるレシピが掲載されているだけな
んです……だから、それを規制することはできません」
一同「そ、そんな……」
　ガックリと項垂れる無能警官一行。ともかく、この事件はこれにて幕を閉じることになる
総介（それにしもて點才馬区段間(てんさいば・くだんま)……ヤツはこの世界へ来た……ということか……）
※ちなみに余談ですが、點才馬区段間(てんさいば・くだんま)は……B.B.B.(別の世界)よりEighter(こちらの世界)へ……やってきた……ということらしいです。
　彼の暗躍は……まだ始まったばかりである……！？


END