Eighter -Bizarre Investigate-
1ster 〜究極の完全犯罪! B〜



#3
 天四斗(あまよと)某所、カラオケハウス・えんぷてぃおけ
穂積啓志「とにかく、俺は犯人じゃねぇ!!」
 ……疑いの眼差しの中……啓志は叫ぶ。
 確かに、車で往復40分はかかる犯行現場に、10分で往復と犯行を行うのは不可能である……
志摩椅埴亜(いじえ)「しかし……」
野輪信二「誰か別の人が彼を犯人に仕立て上げるために彼の指紋のついた包丁を使った……と言う事は?」
警官「いえ、ありえません。現場に残されていた包丁は丸根家にあったものですし、しかもその包丁というのも今
日の昼ごろ、丸根氏の奥さんが買ってきた新品でして……」
銅鑼虎総「うむぅ……包丁を売ったのが啓志じゃない以外に指紋がつくことは無いか……」
警官「それに……聞き込みをした結果、事件直後、あなたに似た人物が現場から去っていった……との情報があり
……」
総「……でも……それでも彼はここに居たんだ……犯行は……無理じゃないのか?」
椅埴亜(いじえ)「それを言われると……」
啓志「……警部さん……確かに俺は……丸根號斗を怨んではいたが……かといって殺人が起きたから俺が犯人だな
んてのは……安直じゃないか!?」
椅埴亜(いじえ)「むむ、そうなのか!?怨んでいたのか!?……ならばますます疑いは濃くなってくるな……」
一同「……」
 この警部……そこまで調べてなかったのかよ……と呆れてみる。
信二(大丈夫なのかな?)
総(激しく不安だ……)
椅埴亜(いじえ)「参考までになんで怨んでいたのかを教えていただければ……他に恨みを持つ者がいるかも……しれないん
で……」
啓志「あ……ああ……」
 啓志が號斗を怨む理由……それは、號斗が打ちたてた理論の一つを彼が勝手に自分のものとして特許申請し、そ
れが通ってしまったことにあるという。
※流石にそれは……怨むに値する出来事なんだろうが……申請前に他人に打ち明けちゃった啓志にも問題があった
 んじゃないだろうか?
警官「なるほど……」
警官(ってことは、このことから他に恨みを持つ者は絞り出せないんじゃないか!?)
椅埴亜(いじえ)(……仕方がない……今日のところは引き上げるぞ……)
警官「はっ!」
 ゾロゾロッ
 そして、警官は去っていく……

信二「ええっと……カラオケ……どうする?」
総「……あ、すいません、警官が踏み込んできたさっきの時間ってカウントの対象外になるんでしょうか?」
店員「申し訳ありません……それはちょっと……ですが、延長料金を……そうですね、さきほどの時間とさしひい
て30分は無料にいたしますので……」
一同「……」
 と、言うわけで、一応時間通り歌って帰っていく3人であった……

#4
 翌日、事件は急展開を迎える。
 天四斗(あまよと)、株式会社・新地平線
 バムッ
警官「穂積啓志はいるか!?」
信二「警察の方が、一体?!」
警官「現場まで……あなたもご同行お願いします」
信二「え!?俺も!?」
 と、言うわけでわけも分からず信二と啓志は丸根邸へ……
 天四斗(あまよと)、丸根邸
啓志「なっ!?アンタは!!?」
 そして、現場にはストライプの志摩の姿はなかった……だが、総介と桜の姿はあった。
啓志「げっ!?」
 総介と桜の姿を見かけて咄嗟に逃げだそうとする啓志
 ガシッ
 だが、警官に掴まれる
警官「啓志さん……一体どうしたと!?」
啓志「いや……その……」
山咲(やまざき)桜「さて、突然ですが、今、測定器って持っていたりします?」
信二「測定器!?……」
 突然の単語に信二はびっくりし……そして、気がつく
信二「ま……まさか……そういうことなのか!?」
 そのまま啓志を睨む信二……だが、彼は明後日の方向をむいて下手くそな口笛を吹く。明らかに怪しいことこの
上ない。
 いや、今はそんなことよりも測定器だ!早速測定器を取り出し辺りをチェックする信二
 ピィ〜〜〜〜
警官「な……何だ!?今の音……」
信二「……TS-ω波……ワームホールを開いたときに出る特殊な電磁波を検出すると音が出る仕組みになっている
んだ……」
警官「ワームホール!?はっ、そうか!!空間転移を行ったのであれば、車で往復40分なんてアリバイにならない
……と!」
警官「しかし……どうやってワームホールを開いたんですが?」
警官「そ……それは……」
信二「……これは、まだ特許申請中で詳しくは言えないんですがね……我が社は現在、ワームホールを開くシステ
ムを開発しておりまして……」
警官「なるほど!つまり、その開発に携わっていた……んだよね?啓志って……」
信二「ああ……」
桜「以上の点から、今回の事件の犯人は……」
啓志「ぐっ……だが、開発に携わった人物なら俺以外にも……」
警官「……うっ……それは……」
(かみ)総介「フン、会社のホストコンピュータにはまだデータが残っているんじゃないか?」
信二「……そうだ……もし、お前が勝手にウチのシステムを使ったのならば、その履歴がシッカリと残っている…
…」
 的確にアドバイスを行う総介のおかげで窮地に立たされる啓志
啓志「く……くそぉおお!!」
 バっと腕をまくる啓志……そこには腕時計の様なものが……
信二「しまった!?そいつは!」
啓志「気付いたころにはもう遅い!貴様らに俺を逮捕することは……」
 ぷしゅん……
一同「……」
 だが、ワームホールは開かず、逃走は失敗する
啓志「ば……馬鹿なぁ!?」
総介「穂積啓志……貴様を犯人として逮捕する!」
 ガチャリッ
 そして、しょっ引かれていく啓志。
 肝心なところでワームホールが開かなかったのは不運としか言いようがない……


END

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